■手術室の過ごし方(口を開けてください)
塩田記念病院 麻酔科部長 中村京一
“口を開けてください”、“入れ歯はありませんか”、“動く歯はありませんか”麻酔前診察では、必ず口を観察させていただきます。内科医は、咽頭炎などを診察しますが、麻酔科医は、呼吸管理を目的で観察しています。
手術をスムーズに進行させ、安全を確保するためには、しっかり麻酔をして、鎮静、鎮痛、不動(麻酔の三要素)を得る必要があります。しかし、麻酔深度が増すにつれ、呼吸は浅くなり、回数も減っていくので、人工的に補助しなければなりません。さらに、より安全・確実な人工呼吸を行う為に、気管にチューブを挿入(気管挿管)し、呼吸器につなげます。気管挿管は標準的な医療行為ですが、まれに挿入困難な患者さんがいます。この操作では、唇や歯を傷つけることがあります。また、抜けた歯が気管に入ったという報告や、食道の“入れ歯”を、胸を開けて取ったという報告もあります。入れ歯は、必ず外して頂きます。
口腔内の清潔を保つことで、手術後の肺炎や傷の感染が減ることが分かっています。
口腔内細菌が認知症と関連がある可能性も指摘されています。この際、日々の歯磨きだけでなく、ぜひ手術前に歯科受診をして、歯槽膿漏や動揺歯のケアを考えていきたいと思います。
問合せ:医療法人塩田記念病院
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