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お茶の間博物館 414

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千葉県館山市

◆シリーズ 関東大震災と館山 (5)火災の被害
関東大震災といえば東京や横浜の大火災による被害が知られていますが、館山市内では被害の多くが倒潰であったことはこれまで紹介したとおりです。しかし、火災による被害もありました。富崎小学校に残された「震災記録」には、9月1日の夕方に館山方面や三浦半島方面に火の手が盛んに上がる様子が10キロメートル以上離れた富崎地区から見えたと書かれています。
火災による被害が甚大な地域は船形町と館山町でした。大正12年9月19日調の「震災状況調査表」(『安房震災誌』)によると現在の館山市域では、船形町340戸、館山町55戸、北条町18戸、館野村2戸、神戸村1戸、九重村1戸の建物が焼失しています。
船形町の焼失範囲は船形小学校と崖観音の間の稲荷神社を中心とした一帯です。「震災状況調査表」と異なる時期に行われた調査によると、船形町の被災状況は、全町戸数1142戸中、全潰家屋589戸、半潰家屋172戸、焼失家屋353戸であり、66%が倒潰、30%が焼失しています(『安房震災誌』)。焼失家屋353戸は住家であり、他に非住家の165戸や寺社3戸も焼失しました。館山町は新井地区で火災が発生し多くの家屋が焼失しました。漁村や町場といった住宅密集地で発生した火災は広範囲に燃え広がり、多くの家屋が焼失してしまったのです。
なお、前掲した富崎小学校の「震災記録」には、「殊に三浦半島方面に深紅の火柱立ちて物凄し。月淡く下界を照して物凄きに、更に如何なる天変の来らんかと徹宵(てっしょう)警戒す」と、対岸の三浦半島方面の大火災を見た人々が、さらに天変地異が起きることを恐れて夜どおし警戒した様子も記されています。
大規模地震発生時には火災が発生する恐れがあり、悲惨な地震被害をさらに拡大させます。普段から地震後の火災を想定して備え、予防や減災につなげましょう。

◆博物館の休館日
本館・館山城:1月1日~3日、9日、15日、22日、29日
※館山城は1月1日~3日に臨時開館
渚の博物館:1月1日、29日

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〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

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