隣接する成田空港では更なる機能拡張が進み、雇用や人口の増加など、地域の発展に期待が集まっています。
そこで大切なのは、私たちが暮らす香取市には地域の皆さんが守り、育ててきた歴史や文化、生活スタイルがあり、それらを「魅力」として再発見しながら発展することです。
今回は魅力再発見の一環として、香取市と慶應義塾大学SFC研究所による活動を紹介します。
◆ソトからの視点で〝あるもの探し〟
11月20日に慶應義塾大学SFC研究所と「地域力再発見に関する連携協力協定」を締結しました。
大学生によるソトからの視点で、地域の特色ある資源を再発見して、「地域への誇りと愛着(シビックプライド)」を育む取り組みを進めていきます!
◇慶應義塾大学との連携
今年度は市内全域を対象に地域研究を実施。大学生が市民の協力の下、地域の伝統行事などに参加し体験・交流していきます。
年度末には、研究成果の中間発表を行い、地域の人たちと大学生が感じた魅力を共有します。
◆地域の人々と学生との協働で魅力を再発見
飯盛義徳(いさがいよしのり)教授
香取市には、歴史や文化、自然など他にはない豊かな資源に満ち溢れています。地域づくりには、これらの資源を存分に生かしていく資源化(資源にしていくという主体的な取り組み)が求められます。今回の連携協力協定の主要なテーマであるスローシティ(※1)とは、食、歴史や文化などの地域の資源をうまく展開して、持続可能性を高めていく運動です。住んでいて気持ちがよく、幸せを感じるスローな地域づくりを目指しています。
私たちの研究室では、今までスローシティの研究や実践を行ってきました。スローシティの視点から、地域の人々と学生との協働で香取市の新たな魅力を再発見して、シビックプライドの醸成につながっていけばと期待しております。
※1 スローシティ:イタリア発祥のまちづくり運動です。文化の均質化に対抗するために立ち上がったという背景があり「地域の歴史や文化、自然・風土を大切にしながら、等身大のまちづくりを目指す」という考え方を持ちます。また、地域の伝統を大切にしながらも、デジタル技術を取り入れることもスローシティの重要な要素となっています
◇慶應義塾大学SFC研究所 飯盛義徳研究室
慶應義塾大学SFC研究所(湘南藤沢キャンパス)は、既存の学問分野を横断し、問題を自ら考え、解決方法の創造・実践に取り組んでいます。
飯盛義徳研究室には38人の学生が所属し、所属する学部(総合政策学部と環境情報学部)や取り組む分野もさまざま。研究室では、北海道から九州まで全国各地で、地域における効果的な「プラットフォーム(※2)」設計の実践知の創造に挑んでいます。
※2 プラットフォーム:多様な人々の相互作用により新たな社会的創発が生まれる「場」
◆活動に取り組む大学生に聞いてみた!
・香取市は多様で個性的な魅力に溢れ、我々学生がさまざまなことにチャレンジしたくなるような地域だと思います。私は以前から「日本遺産」を研究しているため、香取市から学ぶことが多いです。他にも「伝統工芸」「食」「銭湯」「寺社仏閣」などさまざまな専門分野を持つ学生がおり、それぞれが香取市でチャレンジできることを楽しみにしています!
私たちは今回「よそ者」として参加しますが、香取市の皆さんが当たり前すぎて意識していなかったような地域の宝物を、私たちならではの視点で再発見するお手伝いができたらと思います。
私たちがまだまだ知らない香取市の魅力がたくさんあると思います。これから香取市の皆さんと共に、香取市の「宝探し」ができることが楽しみです!
プロジェクトリーダー 土居七海(どいななみ)さん
・スローシティは、地域に存在する価値や良さを改めて見つめ直し、現代にあった形で再定義し直す、今までにない新たな地域づくりの指針になると思っています。昨今は「タイパ」が重視され、時間軸の中で生き急ぐことが求められる社会です。ゆったりと自分のペースで生活していくことを取り戻す環境があることは、首都圏で息苦しさを感じている人へのよりどころ・オアシスになると思います。
これから、香取市で活動させていただけることに感謝の気持ちでいっぱいです。私たちの活動は、地域に住む皆さんが関わってくださることによって、さらに深まっていくと思います。これから精一杯活動を進めてまいりますので、温かく迎えてくださると嬉しいです。
蒲地陽太朗(かもちようたろう)さん
・スローシティは、地域資源を再定義し、まちの文化で持続可能なモノやコトを調理していく考え方であると思います。香取市には文化や自然といった地域資源が無限に存在しています。だからこそ、地域資源を分析しながら、残していきたいエッセンスを皆さんと考えていきたいです。
私たちは「よそ者」であるからこそ、まちの当たり前を魅力として再発見できると思っています。市の魅力を未来につなぐために、皆さんと共に「まちの価値」を再定義し、地域資源を生かした新たな「プラットフォーム」を創造することに取り組みます。
これから五感で香取市を味わいながら、地域の文化や自然を未来に結びつけるため、真摯(しんし)に活動してまいります。
我妻里莉(わがつまりり)さん
香取市のこと、たくさん教えてください!
◆フィールドワークをスタート!
まちづくり協議会を中心とした地域との交流や体験を通じて、市独自の食や農、歴史文化、自然環境、香取らしい生活を研究しています。
◆世界に広がるスローシティ
国際的なネットワーク「スローシティ国際連盟」では「スローシティ」の認定制度を設けています。令和6年5月10日時点で、世界33カ国297都市が認定され、連盟に加盟しています。現在、日本では気仙沼市、前橋市の2都市がスローシティの認定を受けて加盟しています。
地域に根付いた生活スタイルを見つめ直し大切にすることが、世界的にも取り組まれています。香取市でも、地域の皆さんが営み取り組んできたことが、国際的に認められる価値となり得ます。
◇スローシティの理念を地域づくりに生かす
香取市は、古代からの歴史文化を地域の人々が連綿と継承し、発酵などの食文化や伝統行事、自然に根差した独自の生活様式などを大切に育んできました。
持続可能性のある新たな地域の発展を考えたとき、食や歴史文化などの地域の個性を大切にする「スローシティ」という理念は、これからの地域づくりに合致するものといえるでしょう。
「スローシティ」の視点で、地域の人々が取り組んできたことが貴重な地域資源であることを再認識し、地域への愛着と誇りを持つシビックプライドの醸成につながっていくことが期待されます
問合せ:秘書広報課
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