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「吉保八幡のやぶさめ」の賑わいから感じたこと
今号の表紙でも紹介している吉保八幡のやぶさめは、古代から続く日本の武士による弓術や騎射(馬に乗りながら矢を射る技術)の訓練に由来すると言われています。私は、千葉県で唯一この神事が本格的に行われている「吉保八幡神社」の例大祭に伺いました。
この神社は古くから長狭地区の人々に崇拝されており、神事は起源が鎌倉時代とも伝えられる伝統行事です。現在では鴨川市のみならず、千葉県内でも代表的な観光イベントの一つとなっています。
当日は多くの人々で賑わう中、神事は厳かに執り行われました。カメラマンや見物人も多く、北海道から訪れたという方もいらっしゃいました。疾走する馬にまたがり、白装束をまとった射手の吉野さんが的に向かって矢を放つと、命中するたびに観衆から「ウォー」という歓声と大きな拍手が湧き上がりました。人馬一体となったその瞬間、観衆は息をのむような緊張感に包まれていました。射手の吉野さんは一定のリズム感があり、非常に落ち着いているように感じました。
これらの文化は、その土地固有の気候風土と、何世代にもわたる先人たちの営みによって長い時間をかけて育まれ、継承されてきたものであり、非常に貴重な財産であると強く感じました。
一方で、地域の貴重な文化財が失われたり散逸したりすることが課題となっています。市としても文化財継承の担い手を確保し、地域全体で取り組む体制づくりを進めることが重要だと考えています。そのため、今年度は「鴨川市文化財保存活用地域計画」の策定に向けた準備を進めています。「観光と地域に伝わる伝統文化の保存」は、新たな人々の賑わいを創出する上で重要な要素の一つであると強く感じた一日でした。
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