「ちょっとおっさん これなんぼ アア ヤヤコシ」
NHKの朝ドラ「ブギウギ」は歌手の笠置シヅ子さんがモデルのドラマでした。主人公の福来スズ子の力強い大阪弁が今でも耳に残ります。同じ関西弁でも和歌山弁とは少し違いますが、なんだか心が癒されました。
笠置さんには作曲家の服部良一さんとのコンビで、「東京ブギウギ」などのヒット曲がたくさんあります。中でも、十数年前初めて「買い物ブギー」を聞いた時、私はあまりのファンキーさにのけぞりました。
魚や野菜などの名前が連呼され、「わてほんまに よう言わんわ あーしんど」で終わる名曲です。作詞の村雨まさをは服部良一さんのペンネーム。大阪生まれの服部さんならではの感性から生まれた歌詞。まるで大阪弁のラップです。ちなみにラップが日本に紹介されたのは1980年代だといわれていますから、かなり先行しています。
和歌山弁も含めて関西の言葉は柔らかで、まったりしていて良いと思います。東京のイベントであいさつしたり、スピーチする時は必ず和歌山弁でしゃべるようにしています。もちろん、和歌山弁と言っても、紀北、紀中、紀南と地域ごとになまりが違います。
作家の司馬遼太郎さんは、紀州方言に敬語がないのは、歴史的に上下関係が少なく平等の思想が古くから根付いていたためと説明しています。よく言えば自立自尊、我が道を行く和歌山の県民性はこんなところから生まれたのかもしれません。
皆さん、和歌山弁を大事にして、後世にしっかり残していこらよ。
和歌山県知事 岸本 周平
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