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「幼学綱要」の話

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和歌山県上富田町

教育委員会所蔵の資料を整理していたときに「幼学綱要(ようがくこうよう)巻之二」という冊子を見つけました。昔の子供向けの教科書のようなものかと思い1ページ目を見ますと、 
「和順第三 人ニ男女アリ。故ニ必夫婦アリ。夫婦アリ。然後父子アリ。兄弟アリ。以テ一家ヲ成ス。夫ハ其外ヲ治メ。婦は其内ヲ修ル者ナリ。…」
と、始まっていました。
「日本歴史大事典3」によると、明治天皇の勅命(ちょくめい)として儒教主義の立場から編集された修身書で、上中下3冊7巻からなり、明治15年(1882)に完成刊行されたものだそうです。しかし、実際に児童用修身教科書として用いられたことはほとんどなく、桐箱に収められるなど教典として扱われたそうですが、後の教育勅語成立の先駆的位置にあるものとされているそうです。 
女性は、嫁入り道具と一緒に貝原益軒(江戸時代)が書いた本をもとにつくられた「女大学」という本と、百人一首を持って行くことが多かったということで、明治頃まで続いていたそうです。この「女大学」の内容は、徹底した男尊女卑の立場から、女性は男性に従え、女性とはこうあるべきだというようなことが書かれています。 
貝原益軒の書いた「和俗童子訓(わぞくどうしくん)」巻5女子を教える法にも有名な文言があります。
「婦人には三従の道がある。およそ婦人は柔和で人に従うのを道とする。自分の心に任せてかってなことをしてはならない。それだから三従の道ということがある。これもまた女子に教えねばならぬ。父の家にいては父に従い、夫の家にいっては夫に従い、夫が死んでからは子どもに従うのを三従という。」 
夫は外に出て働き、妻は家庭で家事・育児という考え方や三従の教えは歴史が長いため、男女平等社会を目指すには負の遺産となっているようです。 
和歌山県では、11月11日から12月10日までの1か月間を「人権を考える強調月間」と定め、総合的な人権啓発を推進しています。 
上富田町でも、男女共同参画社会に向けての取り組みや子どもの人権に関する条例の制定など、一人ひとりを大切にする町づくりを進めています。(大谷)

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