■やさしさのバトン
全盲になった元和歌山市職員の山﨑さんとその通勤を10年間支え続けた本市の児童の話が、今年度から小学3年生の道徳の教科書に採用されました。絵本や話題にもなっていますので、ご存じの方も多いと思いますが、「バスが来ましたよ」と声をかけたのがはじまりで、児童が卒業しても他の子へと次々と引き継がれ「やさしさのバトン」のようにやさしさや親切が続いていく実話です。
6月に道徳の授業研究会が小学校であり、私もその様子を拝見しました。クラスの雰囲気は明るく、担任の先生の質問に活発に手を挙げ自分の気持ちを述べ、他人の意見が違う場合でも、否定するのではなく「それもわかるけど私はこう思う」と発言するなど、まさにクラスの皆から思いやりが感じられる授業風景でした。「声をかけるのは勇気がいる」「でもそれ以上に自分が嬉しくなる」「お母さんからは知らない人と話をしないように言われている」等々。大人でも難しいことなのに意見が孤立することなく自分の気持ちを率直に出していました。これから成長する中で様々な現実に出会うと思いますが、芽生えたやさしさは心の中に残っていくと思います。
相手のことを思いやり、進んで親切にすることが「やさしさのバトン」をきっかけに更に子ども達に広がっていく社会ってすばらしいなぁと感じながら、授業が終わり帰ろうとすると児童が寄ってきてくれて「早く良くなってください」と紫陽花の花束を頂きました。有難うございました!
和歌山市長 尾花 正啓
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