市では、文化の発展に貢献された方をたたえ、一層のご活躍を願って文化賞の贈呈を行っています。
令和6年度は、山口利幸氏と野尻孝子氏が文化賞の栄に輝かれました。
■山口 利幸(やまぐちとしゆき)氏
氏は、昭和61年に母校である和歌山工業高等専門学校に助手として採用され、平成2年に講師、平成4年に助教授、平成12年に教授へと昇進された。平成5年には太陽電池の研究成果により、豊橋技術科学大学から博士(工学)を授与された。令和3年4月から大分工業高等専門学校の校長、そして、令和6年4月からは米子工業高等専門学校の校長に着任された。
和歌山工業高等専門学校在職時には、全国の高専の学生が競技課題に対し、アイデアを駆使してロボットを製作し、競技を通じてその成果を競う「全国高等専門学校ロボットコンテスト」において、学生たちを率いて10年連続全国大会出場と3回の準優勝を収められた。
また、子どもたちがものづくりの楽しさを実感し、将来ものづくりに携わる人材として活躍することを期待して平成19年から本市で開催されている「きのくにロボットフェスティバル」の企画・運営に創設時から取り組まれた。「きのくにロボットフェスティバル」は、小中学生のロボコン「全日本小中学生ロボット選手権」を主企画としており、市内小中学生はもちろん、県内および全国、また海外からも小中学生が参加するなど、ロボットを通じて青少年のものづくりへの関心を高める一大イベントとなっている。また参加した小中学生が工業高等専門学校等に進学し、ものづくりの道に進むなど、将来のものづくりを担う人材の入口・育成の場となっている。
平成30年には、ロボコンを軸とした活動に加え、自身の研究において多数の論文を発表されていること、また学校運営においても、その優れた発想力と行動力により様々な方面で顕著な成果を挙げられていることが高く評価され、国立高等専門学校教員顕彰理事長賞を受賞されている。
このように、ロボットを通じて、子どもたちにものづくりと触れ合える機会を創出し、ものづくりに対する関心と理解を深める氏の取組は、本市のものづくり文化の普及及び向上発展に大きく貢献するものであり、その功績は誠に多大である。
■野尻 孝子(のじりたかこ)氏
氏は和歌山県立医科大学医学部を卒業後、同大学附属病院や社会保険紀南綜合病院などで小児科医として勤務された後、平成3年に和歌山県庁に入庁された。入庁後は、和歌山県立御坊保健所の医師として勤務され、平成6年に御坊保健所長、平成12年に日高振興局健康福祉部長・御坊保健所長兼任、平成25年には和歌山県福祉保健部健康局長に就任された。平成30年からは和歌山県福祉保健部技監(健康局長事務取扱)を務められ、令和5年3月に和歌山県庁を退職された。
現在は、東京医療保健大学学事顧問特任教授に就かれているほか、宝塚医療大学特別客員教授、紀南病院医療顧問を兼務され、後進の育成や講演活動等を行っている。
保健所勤務時代には、日高看護専門学校の設立にあたり、企画立案、調整、設置など幅広く携わり地域医療の向上に尽力されたほか、地域医療の課題解決を図るため、ひだか病院内に病診連携休日急患診療所を設置し、一次から二次救急までを円滑に対応できる体制を整備した。
また氏は、自然災害をはじめ感染症などの危機事象に対して迅速に対応し支援を行われてきた。特に、阪神淡路大震災において支援した経験から地域の災害対応力向上を目的に、保健所対応マニュアルの作成や当時、全国でも珍しかった関係機関参加の実動訓練を行うなど、災害医療体制の向上に尽力された。
令和2年2月、新型コロナウイルスの全国初の院内感染事例が和歌山県で発生した際には、新興感染症で未知な部分が多いなか臨機応変に対応し、無症状者を含めた病院関係全員のPCR検査を行うなど、“和歌山方式”の基礎を作り上げた。その後も、感染拡大防止と医学的管理のもとに重症化を防止するため感染者の全員入院や、県独自に感染者から得られたデータを収集、分析し、公表の上、医療機関や県民に情報発信し続けるなど、感染拡大防止を図るとともに、全国に“和歌山方式”を発信してきた。
このように、氏の公衆衛生の発展と地域医療の充実及び向上に尽くされた功績は、極めて大きいものがある。
※「野尻孝子氏」の「尻」は環境依存文字のため置き換えています。正式表記は本紙をご覧ください。
問合せ:秘書室
【電話】0738-23-5536
【FAX】0738-23-5077
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