本紙面のこのコーナーに私の想いを載せることができるのは、9月号まで後3回となりました。その貴重な1回を今回は有田みかんの話といたします。
私は約20年前の市議会議員時代より、有田みかんの再ブランド化やみかん産業の発展こそが有田市浮上の一つの政策であると信じていました。経済効果や雇用対策は勿論、市民の誇りにつながる日本一の有田みかん、ここにしかない政策です。
レギュラーみかんと高品質のみかん、さらには最高品質のみかんであっても、そのクオリティの差に価格や評価の差が見合っていないのはおかしいという課題感を強く抱いていました。魂を込めて高品質のみかんを作られる生産者さんが、もっと報われるべきで、そんな方々こそが、有田みかん産地全体の価値や価格を大きく高く引っ張ってもらえるものと考えていた時に、フランスのワイン原産地呼称管理制度というものに出会いました。それは、行政が根拠をもって優れたものであると、商品にお墨付きを与える制度です。これまで14年間の継続した取組が価格や規模の面で大きく成果を感じるまでに至りました。このことを真似しようと、多くの自治体が行政視察で本市にお見えになりますが、成功している他の地域はありません。原因は、市長や職員が優秀な訳ではなく、圧倒的な有田市の生産者さんの意識の高さにあります。450年続くみかん産地の地形や気候、技術や歴史に対する感謝と、日々の努力。そして、高品質有田みかんというブランドを守るための情熱と誇りが、この制度を維持させ、ふるさと納税でも10億円を超えるみかんのご寄付をいただけているのです。私は有田みかん産地の今後ますますの発展を確信しています。
この「原産地呼称管理制度」も次なるステージに進化させつつ、いつの日か、店頭に並ぶ有田みかんが、ワインのように畑や作り手を感じながら選んでもらえ、みかんそのものの価値が大きく変わり、持続可能な有田のみかん産地が存在していることが私の夢です。
有田市長 望月 良男
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