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望月良男市長 より良い有田市をめざして 退任のごあいさつ

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和歌山県有田市

■略歴
平成15年、31歳の時に有田市議会議員に初当選。平成20年、歴代最年少で有田市長に就任し、4期16年の長きにわたり市長職をつとめられた。

市民の皆様の幸せ、豊かさを徹底的に考え続けた16年間。長い間、本当にお世話になりました。市民の皆様に心から感謝申し上げます。

いよいよ、今月号が市長として最後の「より良い有田市をめざして」となりました。感謝の気持ちを込め、4期16年を振り返りたいと思います。
平成20年9月、第15代有田市長に就任し、4期16年という月日が過ぎ去りました。振り返るとそれぞれの任期で様々な課題がありました。
16年前、就任直後の市財政は皆様ご承知のとおり、経常収支比率が高く、財政調整基金も底をつき、財政健全化課題が待ったなしの状況でした。そんな中、私の最初の大きな難しい仕事は、職員の給料と退職金をカットすることを職員組合との交渉で妥決させることでした。それと同時に財政健全化へ向け、2000以上の予算項目の見直しや、人件費や公債費の計画的抑制を図るなど地道な作業に徹する前半戦だったと振り返っています。
平成29年からはふるさと応援寄付金も10億円を突破し、財務状況もこれまでとは変わり、「未来への投資」という哲学が有田市財政に加わりました。皆様のご協力のもと、今では当時想像できなかったような強い財務体質が実現できていると思います。
すべての政策の根底にある財政を大きく好転させることができたことに対し、今、改めて、ご協力いただいた皆様への感謝の念が尽きません。
当選後すぐにといえば、小中学校の耐震化や学力の向上など、教育環境の整備に着手しました。学校の耐震化では、国の交付金がすぐに認められず、随分と苦労しましたが、職員と一丸となり、徹夜の日々を過ごしながらも、20億円を超える交付金をいただけたことは本当に幸運でしたし、これらがこどもたちの安全を守ることにつながっていると、振り返ると感慨深く思います。議会の皆様はじめ、多くのご尽力に感謝いたします。
そして、有田市の強みである一次産業。みかん農業と水産業をはじめとした地域経済の活性化についても、皆様と力をあわせて新たなチャレンジができたこと、誇りに思っています。忘れてはならないのが、株式会社リクルートとの協業です。行政組織の本質を懸命に議論し、官民の関係性を見直すことがきっかけで、わいがや娘の会や、おさかな勉強会などが誕生しました。チアーズアグリプロジェクトでは、みかん農業のふるさと応援寄付を含む直販に挑戦し、成果を上げることができました。私たち市役所組織は、この協業でたくさんの気づきをいただき、多くの成長につながりました。根本は産業従事者の皆様の頑張りで、結果として現れているそれぞれの成果を、非常に嬉しく感じているところです。
また、賛否を乗り越えた中学校統合政策も今年4月、有和中学校が開校し、過日、活気あふれる体育大会を拝見させていただき、有和中学校の未来を明るいものと期待しています。
そして中学校の跡地活用も、専門学校の誘致、認定こども園の新設など、それぞれしっかりと進捗しています。
市民の皆様の一番の関心事である医療、有田市立病院の課題には随分と悩まされ、涙したこともありましたが、昨年4月から病院運営の民営化、指定管理に至ることができました。今後、保田中学校跡地に新病院の建設も予定しており、しっかりと次に引き継いでいく所存です。
また、子育て支援策も強化してきました。支援策「マリー・ユー」の経済的直接給付に踏み切るかどうかの判断は本当に迷い揺れ、議論を重ねましたが、現在の社会情勢に鑑み、思い切って決断しました。今ではこの支援策をさらに進化させるよう取り組んでいるところです。全国各地の自治体から、先進事例として視察にもお越しいただくようにもなり、嬉しく思います。
また、命を育む場所、有田地域のお産を守る政策として、産婦人科クリニックの誘致事業において、開院までたくさんのハードルに対し、途中で諦めることなく、皆様と越えることができたこと、有田郡3町をはじめ、関係各位に感謝でいっぱいです。
そして、超高齢社会の施策です。高齢者の皆さんの健康寿命延伸の課題解決をきっかけに政策が進み出した市民水泳場えみくるARIDA、そして、新都市公園BIGSMILEPARKも無事開園しました。このことは特に県当局に大変お力添えを賜り、国の予算措置を獲得することができたこと、感謝しています。開園から数か月、あらゆる世代の皆様にご利用いただき、まちが活気づいていることを実感しています。
観光政策においても、5つ星プロジェクトなど、未来に向けた取組をスタートさせ、現在は2025大阪・関西万博という目標を共有しています。
ENEOS和歌山製油所跡地についても、あの激震から2年半、本当にたくさんの方に応援していただき、新たな未来環境供給基地に生まれ変わろうとしています。今後は和歌山製油所跡地に大きな設備投資が予定され、良い経済効果を生み出してもらえるものと期待しています。
防災施策においては、避難場所やヘリポートの設置に取り組み、逢井のアクセス道、箕島の通称南北道、箕島地区や野、山地地区の浸水対策ではポンプ設置も施策を推進させています。
未来に向けた取組として、昨年度有田市は県内市町村に先駆けて、都市OSの整備に着手しました。今後の有田市のまちづくりにおいて、このDXの投資が、様々な分野で大きく社会を便利に、そして豊かにしてくれるものと、今後に引き継ぎ、期待しています。
これまで思いを込めて進めてきた政策を一つずつ挙げると切りがありませんが、すべて、市長の役割として遠くを見通し、有田市の持つポテンシャルや目的を大切にしながら「方向性を導く」、「決断する」、「責任を取る」ということを使命とし、私なりに仕事に向き合ってきました。現在の社会、行政運営において、すべての政策に明確な答えやお手本があるわけではありませんが、しっかりと考え、自分が信じる道を歩んでこれたと振り返っています。
16年前は、様々な取組がこれほど具現化できるとは想像もできておらず、驚きさえ感じています。いま形になっているものはすべて、関係者の皆様に賛同していただき、協力、実行していただいた結果にほかなりません。議会をはじめ、すべての皆様に心から感謝申し上げます。このような素晴らしい仕事をさせていただいたことを自分自身一生涯誇りに思いますし、本当に幸せな16年間であったと思います。
市民の皆様に心から感謝申し上げます。16年間、本当にありがとうございました。

有田市長 望月 良男

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