文字サイズ
自治体の皆さまへ

わたしのまちの文化財 vol.192 祝!国の登録文化財

32/39

和歌山県紀の川市

~「井上家住宅」・「旧制粉河高等女学校同窓会館」~

開発や生活様式の変化などにより、消滅の危機にさらされている近代などの文化財建造物を後世に幅広く継承していくため、文化財の「登録制度」があります。保存や活用に適した緩やかな保護措置を講じるもので、原則として建設後50年が経過し、国土の歴史的景観に寄与しているものなどが基準とされています。
8月7日、この登録制度により、中三谷にある「井上家住宅(旧岩田家住宅)」と粉河にある「旧制粉河高等女学校同窓会館(粉河高等学校同窓会館)」の2件が、新たに登録文化財となりました。
農家住宅である井上家住宅は、現在、参禅道場として使用されています。敷地中央の「主屋」、北西隅の「土蔵」、正面の「長屋門」、屋敷外周の「土塀」が登録されました。主屋は二階建、入母屋造、瓦葺で大正5年頃に建設されました。内部は土間の西側に四室を並べ、西側に座敷が続きます。座敷は庭への眺望を確保するため、床の間を西面に、違い棚を北面に分けて配置した特徴的かつ上質な造りです。大正前期に造られた土塀は、外面に青石の小石を貼り付け、江戸時代末期に建設された土蔵や昭和45年建設の長屋門とともに、屋敷構えを整えています。
大正2年創立の県立女学校に開校20周年を記念して建設された、旧制粉河高等女学校同窓会館は、洋館と和館が登録されました。かつては生徒が一週間程度泊まり込み、炊事などの実習を行う家庭実習寮としても親しまれました。洋館は木造二階建で切妻造、スペイン瓦葺の大きな屋根をもち、一階は応接間や食堂、二階は二間続きの和風の大広間があります。隣接する和館は平屋建、宝形造のスレート葺で和風を基調とします。内部は欄間を多用する明るい続き間座敷が中心の間取りで、玄関脇に洋風応接間が設けられています。いずれも昭和9年に建設され、改修されながら現在まで使用されています。令和4年度には屋根の葺き替えや応接室の内装を現すなど一部が復元されました。洋館と和風意匠が取り合う外観が特徴で、紀の川を見下ろす高台に建つ赤い三角屋根の同窓会館は、歴史ある伝統校の象徴の一つとして親しまれています。
文化財と聞くと難しく聞こえますが、生活の中で培われた地域の歴史であるため、身近に溢れています。一方、身近にあるため、普段は気にも留めず失われていくものも沢山あります。少し目を向け、その背後にある長い歴史を見てみると、それぞれの大切さを感じることができます。

問合せ:紀の川市文化財保護審議会
【電話】77-2511(生涯学習課内)

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU