昔から今も残る 高野町内の名所シリーズ(89)

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◆奥之院峠(おくのいんとうげ)(高野山)

奥之院御廟から東に1kmほど向かうと奥之院峠に至ります。奥之院峠には祠があり、弘法大師の石像が祀られています。この地点の案内板には「摩尼峠高野山奥之院、摩尼村へ行く近道です」と記されています。ここから北方向へきつい急坂を登ると摩尼山(1004m)に到達し、反対に南へ600mほど行くと摩尼トンネル付近に至ります。いわゆる女人道です。

ここで国道371号と交わります。近代の道路の開発によって古来の道は残されていませんが、慶応元年(1865)の絵図を見ると昔の道が推測されます。摩尼トンネルのところが絵図に記される「摩尼峠」であることがわかります。先の奥之院峠ではありません。そこから御殿川にかかる橋(摩尼大橋)までの道については、「此道摩尼峠マデ蓮花谷中摩尼ト立合テ作ル也」と記されています。この橋は現代の「中の橋駐車場」付近にかかっていたと考えられます。蓮花谷に通じますので、中摩尼と蓮花谷の者が協議してかけたものだとわかります。

「奥之院峠」は絵図では「奥院通り」と記された道の合流地点だと考えられます。古来の女人道は世界遺産でありますし、現代の国道371号も重要な道路です。大切に守っていきたいと思います。

教育委員会