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自治体の皆さまへ

高野山の植物 1

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和歌山県高野町

◆日本仏教の聖地「金剛峯寺」のお坊さんのおはなし
▽榧(かや) (イチイ科)花ことば「努力」
今回ご紹介するのは高野山の山林にも自生している植物、榧(かや)についてのお話をさせていただきます。

この榧は弘法大師が若かりし頃、虚空蔵求聞持法という難行をご修行されましたが、その修行法の供物などに関わりのある植物です。

常緑針葉高木の榧は、雌雄異株で雄の木は5月頃に花を咲かせ雌の木は1年半ほどかけて実を実らせます。

この木は成長が遅いが寿命が長く、樹高は25メートル周囲は2メートルと大きく(更に大きい個体も存在する)耐陰性が強く日当たりのあまりない所でも育ちます。

材として緻密で狂いが少なく、淡いクリーム色の柾目が美しいことや、独特の艶と甘い芳香があること、水やシロアリに強いため建築や船舶、また浴室用具などにも使用されます。

樹齢300年以上の榧で作られた碁盤や将棋盤は高級品とされており、その中でも特に南九州の「日向榧」は最高級品として名高く素晴らしい逸品と称賛されています。

また国内で良質な原木の入手が困難になっているため海外産の材が流通しているのが現状のようで益々高級な材になっていくことが予想されます。

そしてご存じでしょうか、榧の実は古くは縄文時代から食用とされていたようで、榧ひ実じつと称して漢方にも用いられており便秘や寄生虫の虫下し、肺を潤し乾燥性の咳に対する効能があり、精進料理の和え物やお菓子の材料としても使われているものです。

現代でも食用油料・燈用油料としても用いられてきたため各地の神社仏閣に巨木が残っているようです。

また高野山上には古くからは自生していなかったのではないかと言われており、高野山で使われるものは山外の寺領とされていた地域(毛原近辺が主)で採れたものだったようです。

このように榧は人間の生活に役立つ植物であり、また大気汚染に強いため公園に植樹する動きもあるようなので、お近くに榧の木があるかもしれませんね。

ちなみに萱葺屋根の萱(茅)は草で、本種(榧)とは別の植物です。

次回は榧について仏事と関連する記事をご紹介します。

今回から担当者が変わり、新しく連載させていただくことになりました。手始めに高野山に生息する植物の紹介をしつつ、その中から仏教や密教に関わりのあるお話を交えながら記事に綴っていこうと思っております。
他にもそれ以外のテーマで記事を書くことも予定しておりますので、みなさまに愉しんでいただければこれ幸いと存じます。

問合せ:高野山真言宗 総本山 金剛峯寺
【電話】0736-56-2012

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