◆金輪塔(きんりんとう)(高野山)
金輪塔は、高野山の北西部の一心院谷(いっしんいんだに)に所在する多宝塔であり、高野山の中興に尽力した明算大徳(めいざんだいとく)(1021~1106)の廟所として明徳5年(1394)に創建されたと伝わります。
現在の建物は天保5年(1834)に再建されたものです。国宝に指定されている金剛峯寺不動堂が明治41年(1908)に移築されるまでは、不動堂と対をなす建造物でした。
『紀伊国名所図会(きのくにめいしょずえ)』には「金輪(こんりん)塔不動堂の西にあり、菩提院といふ、本尊金輪(こんりん)仏頂、寛治年間、明算大徳遷化の後、其遺骨を此塔下に納め、名(なづけ)て菩提院といふとぞ」とあります。「金輪塔」にはルビがふられており、江戸時代には「こんりんとう」と呼ばれていたようです。
檜皮葺きの比較的規模の大きい方三間(ほうさんげん)の多宝塔であり、軒(のき)の出が深く取られ、上層の屋根の勾配(こうばい)が強く、江戸後期の特徴がみられます。この時期の多宝塔は高野山内や和歌山県内でも数が少なく貴重です。
金輪塔は令和6年3月に和歌山県指定文化財(建造物)に指定されました。指定を契機として所有者である金剛峯寺と共同して保存・活用を推進していきたいと思います。
問合せ:教育委員会
【電話】0736-56-3050
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