◆花折(はなおり)・不動(ふどう)(高野山)
女人堂から約300メートル極楽橋方面に下った不動坂の途中に「花折」という場所があります。そこには華甁(けびょう)とよばれる石製の花立てが2基立っています。およそ百年前の大正4年(1915)、高野山開創1100年にあわせて、急峻な坂の勾配を緩くするために新道が作られました。その新道と平成23年(2011)の古道整備事業で発見された旧道が交わるところにあります。花折の華甁は土中に倒れた状態で埋まっていましたが、古道整備事業と同時に姿を現しました。
付近には宝篋印塔(ほうきょういんとう)、不動明王、地蔵菩薩の石像なども道沿いに並んでいます。
江戸時代の地誌『紀伊国名所図会(きのくにめいしょずえ)』に「花折・・・女人堂より下にあり、参詣の諸客、ここにて花を折りて、大師に捧げるもあり、また『折り取れば、手ぶさ(腕のこと)にけがる、たてながら、三世の仏に、花奉る』(『後撰和歌集』)と歌いながら過ぎる人もいる」という内容が記され、挿絵にも描かれています。
華甁には「弘法大師御法楽」と刻まれ、宝篋印塔には「大乗如典一萬部」とあり、『紀伊国名所図会』の挿絵に見られるように、江戸時代からの名所であったことがわかります。
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