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(特集)さいたまの夏祭り-1-

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埼玉県さいたま市

■花火の音、振動を体感して

オリエンタル火工株式会社取締役
進藤大輝さん(28)

≪PROFILE≫
大宮区生まれ。2019年にオリエンタル火工株式会社に入社。その後すぐ花火製造業の盛んな長野県の花火工場で2年間の修行を経て、2021年家業に復帰。好きな花火は、4号玉の芯物(本紙3ページ参照)。

今年、さいたま市花火大会が4年ぶりに有観客で開催されます。花火製造業に進んだきっかけが市の花火大会だと話すのは、大宮区に本社を置くオリエンタル火工株式会社取締役の進藤大輝さん。1901年創業の歴史ある会社の4代目です。花火の見どころや仕事への想いを聞きました。

▼市花火大会で進路を決める
◇花火の道に進んだきっかけを教えてください。
大宮区の大和田公園で開催される市花火大会の打ち上げを高校3年生のときに初めて手伝ったことです。3代目の父が社長を務めているので、もともと自分が家業を継ぐのかなというぼんやりした意識は、それ以前から持っていました。それが、目の前で花火を打ち上げるのを見てその迫力に「すごい!」と感動し、花火師になると決めたんです。
花火の製造には化学的知識が不可欠なため、大学では理工学部に進みました。修士課程修了後、まずは外で仕事を見た方がいいと、花火製造業の盛んな長野県の花火会社で2年間修業を積みました。それから家業に戻って、今年で3年目になります。
さいたま市だとさまざまな就職先があるなかで、花火製造業の存在自体があまり知られておらず、自分のような若手は珍しいです。花火製造業全体を見渡すと、若手も少なくないんですけどね。

▼喜ばれる花火作りたい
◇今のお仕事を教えてください。
弊社は寄居町に工場を持っており、その近くで1人暮らしをしながら、工場に通っています。4号玉という外径12センチの花火を主に作っています。打ち上げると、直径130メートルの大きさまで開きます。
一つの玉を作るのに1か月以上は掛かるんですよ。花火には「星」と呼ばれる火薬の玉が詰まっています。この星は、溶いた火薬を垂らしながら火薬の粉をまぶすことで粒を徐々に大きくする「星掛け」をひたすら繰り返すことで、できあがります。大型の花火になると、星掛けだけで1か月くらい掛かるんです。観客が喜んでくれることを一番に考えて作っていますね。

▼楽しむポイントを覚えて
◇市花火大会が4年ぶりの有観客開催となります。おすすめの楽しみ方があれば教えてください。
ぜひ打ち上げ会場の近くで、音と振動を含め、花火を間近に味わってほしいです。
花火は前知識がなくても楽しめるのですが、知識があれば楽しみがより増えます。鑑賞のポイントがいくつかあるので、ぜひ覚えてほしいです。例えば、花火が開くタイミングは、筒から出て昇り切ってから真下に下がりかけた時に玉が開くのが最適とされています。また、開いた花火はきれいな真円で、消え口がそろって一瞬で消えるのが美しいとされます。
花火の打ち上げ方も、間隔を狭めて次々と打ったり、間を空けてみたりと変化を付けています。そういうこだわりがあることを知って鑑賞してもらえると嬉しいですね。

■花火を楽しむポイントはここ!
花火師のこだわりがわかるようになると、花火の鑑賞がもっと楽しくなります。
今回は花火大会で最も多く見られる花火の種類をご紹介します。

◇菊(きく)
星が尾を引きながら放射状に飛び散る姿が菊の花に見える。

◇牡丹(ぼたん)
尾を引かずに光の点が広がっていき牡丹のような花を咲かせる。

◇型物(かたもの)
光の点や線で、ハートやスマイルマーク、蝶、土星などさまざまな形を描く。

◇冠(かむろ)
丸く広がって大きく流れ落ち、地面近くで消える。

≪芯物≫
菊、牡丹、冠のように、「星」を割火薬で四方八方に飛ばす「割物」のうち、花火の円の中に芯が入ったものをいう。

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