「地域ゆかりの作家」と「本をめぐるアート」をテーマに美術品を収集するうらわ美術館。現在、改修工事のため休館中ですが、休館中もはたらく美術館の「うら」側、のぞいてみませんか。
■「美術館で肝心なのは温湿度コントロール?」
今回の工事では、開館以来23年間働いた空調機の改修を行います。老朽化した空調設備では温湿度を一定に保ちにくく、そのために作品がダメージを受けやすい環境になってしまうからです。
そう、美術館が作品を守るために日々気を使っているもの、それが温湿度管理です。温湿度が高い状態ではカビや虫が発生するおそれがあり、逆に乾燥した状態では作品に亀裂などの損傷が起こることが懸念されます。また、温湿度の急激な変化も危険です。ゆがみやたわみといった損傷を作品が被ってしまうこともあります。そのため展示室と収蔵庫は24時間365日絶えず空調を稼働させて温湿度をなるべく一定に保つ努力をしています。
うらわ美術館の近年の温湿度設定目安は22℃、55%程度です。展覧会を開催していると、来館者から「展示室が寒い」とご意見をいただくこともあり、そのたびに心苦しく思っています。特に暑さが厳しい夏は外気との温湿度差により寒く感じやすいため、冷房対策用に上着などをお持ちいただくことをおすすめしています。そんな美術館をゆっくり楽しむ工夫も、美術品の保全につながります。
(うらわ美術館 松原)
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