『七福神と昇竜図(しょうりゅうず)』
新年を迎え、初詣として七福神詣(しちふくじんまいり)をする人もいることでしょう。宝船に乗った七福神は、福をもたらす縁起の良い神様です。
江戸時代から明治にかけて、新河岸川の舟運で栄えた福岡河岸の回漕問屋(かいそうどんや)福田屋(現:福岡河岸記念館)には七福神をモチーフにした掛軸があります。
掛軸は福田屋の当主十代目星野仙蔵(ほしのせんぞう)が七福神たちに美人画の掛軸を広げて見せている図柄です。掛軸の上方、口ひげを生やした羽織はかまの人物が仙蔵で、反時計回りに弁財天(べんざいてん)、毘沙門天(びしゃもんてん)、恵比寿(えびす)とその肩越しに掛軸を覗く大黒天(だいこくてん)、布袋(ほてい)、福禄寿(ふくろくじゅ)、寿老人(じゅろうじん)が描かれています。描いたのは、二葉亭四迷(ふたばていしめい)『浮雲』の挿絵画などが有名な明治期の画家、尾形月耕(おがたげっこう)で、主屋の「桃太郎出陣図」や離れの「月と海図」など、福田屋の襖絵も描いています。
星野仙蔵は衆議院議員を務め、東武東上線の誘致に奔走した資産家で、尾形月耕のパトロン的存在でした。
また、福田屋には今年の干支である龍が描かれた杉戸絵もあります。もともとは川越城本丸御殿の杉戸で、明治期に福田屋へ払い下げられ、土蔵の押し入れの引き戸として使われていました。江戸時代末の川越藩御用絵師、舩津蘭山(ふなつらんざん)により描かれました。
掛軸と杉戸絵は、2月18日(日)まで福岡河岸記念館で公開しています。この機会にぜひご来館ください。
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福岡河岸記念館
ACCESS
・福岡3・4・2
・上福岡駅東口から西武バス「南古谷駅」行きで「城北埼玉中学・高等学校」下車徒歩3分
ふじみん号Aコース「川崎」下車徒歩3分
問合せ:上福岡歴史民俗資料館
(【電話】049・261・6065)
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