『家族で家事をシェア(共有)しよう!―人生を変える家庭生活の改善方法―』
日本唯一の家事シェア研究家として活動されている三木智有さん。我が家スタイルの家事シェアの見つけ方と家族で協力し合うための秘訣をお伺いしました。
◆居心地のいい居場所を作りたい
インテリア関係の会社員時代に、家に帰りたくない先輩パパたちを見て「家庭に居心地のいい居場所をつくりたい」と思いました。そこで100人の夫婦にヒアリングを行ったところ、家事や育児の協力が関係していることが分かりました。家事は誰かの仕事ではなく、シェア(共有)するものだという思いを込めて「家事シェア」という言葉を使い、活動を始めました。
◆家事シェアの4つのスタイル
最近の男性は、やる気もスキルもあります。しかし、家事の負担が妻に偏りうまくいかない夫婦がとても多いです。スタイルチェックで自分たちなりのやり方を考えるヒントにしてください。
◆大切なのは自由時間の公平性
家事シェアで考えなければならないのは、家事の負担割合ではなく、家族が持つ自由時間の公平性です。
例えば、小さな子どもがいるパパが残業できるのは、誰かが子どもをみているからです。共働きの女性が「私は残業すらできない」と言うのは「残業する」という選択肢すらないという不自由さを不公平に感じているからだと思います。そのため、厳しいことを言うかもしれませんが、残業時間も自由時間に含むと考えています。
このような時間の公平性を担保するために必要なのが、家事や育児のスキルです。やらないと身に付かないので、普段から最低限できることはやっておきましょう。
◆チーム家事スタイルチェック
◆教えて!三木さん Q and A
三木 智有(みき ともあり)さん
NPO法人tadaima!代表・家事シェア研究家・インテリアコーディネーター
2011年に「10年後も『ただいま!』と帰りたくなる家庭」で溢れた社会の実現を目指し、NPO法人tadaima!を起業。日本唯一の家事シェア研究家として、家事シェアを広める活動を行う。
著書:家族全員自分で動くチーム家事、家事でモメない部屋づくり
Q.疲れている時の家事は?
「やらなきゃいけない」と思う人の場合「家事=愛情」という意識が強い人が多いです。お惣菜や外食でも、手はずを整えるだけで十分愛情だと思います。
「できないならしょうがない!」と笑い合えるのが家族だと思うので、できない宣言をしましょう。
Q.子どもに手伝ってもらうと余計に手間がかかる
小さい子どもの「お手伝い」は、「やり方を教えてあげる」という教育の一環なので、戦力にはなりません。わが家では、ある程度マスターできたら「お手伝い免許皆伝」を与えて家事に参加できるようにし、さらにステップアップしたら「トイレ掃除大臣」などに任命して権限を完全に委譲します。そこからは、親が手伝ったらちゃんと感謝してもらいます。
Q.家事のやり方や考え方が違う
基本的には、家事をやる人のやり方やタイミングを尊重します。「私のやり方を見てやってほしい」と思うと、家事シェアは難しいです。
明らかにスキルが低くて困る場合は、ダメ出しではなく「やってくれてありがとう」と良かったことを伝えてから、より良くなる方法を伝えます。すぐにできなくても、相手に気付きがあれば変わってくると思います。
Q.子どものお手伝いに報酬は必要ですか?
家事は労働ではなく生活なので、家族の一員として自分がやるべき役割(家事)を果たした時の報酬は必要ないと思います。お小遣いをあげてはいけないということではなく、ママの代わりに買い物に行ってくれたからお釣りをあげるとか、他の人がやるべき家事を手伝ってくれたら報酬があってもいいと思います。助けてもらったらきちんと感謝を伝えましょう。
Q.パートナーに「家事シェア」の話をしづらい
家事シェアの話は枝葉の話だと思っています。家事を助け合うことが本質ではなくて、本当に一番大事なことは、夫婦で一緒にいる時間が楽しいと思えるかどうかです。対話が難しいとか、真面目な話をするのがしんどいという人は本当に多いです。
一緒に話をすることを避け続けている限り、家事シェアの話には届かないので、まずは5分でもいいので心地よい会話の時間を作ってください。「話を聴いてあげる」「聴いてもらっている」という意識を持つところからスタートするのがよいと思います。
◆編集後記
家事が誰か一人の仕事になると、毎日こなすのは大変です。「これからは、男性が家族と暮らしを営む権利を取り戻す時代」とおっしゃる三木さん。家族とコミュニケーションを取り、家事一つでも褒め合って認め合うことが大切だと教えていただきました。
●男女が共に活躍できる社会を目指して
「燦」とは…
燦(さん)という言葉には、「鮮やかに輝く」という意味があります。
男女が性別にとらわれることなく、ひとりの人間として尊重し合い、社会の中で充実した人生を送れるように、そして社会の対等なパートナーとして活躍できるみんなが輝く社会を目指して、この情報誌をお届けします。
企画・編集:市民総合相談室
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