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自治体の皆さまへ

復活から半世紀―。そして、これからも。(2)

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埼玉県三芳町

■KURUMANINGYOU 竹間沢車人形保存会
≪次の時代へ語り継いで≫
よみがえった竹間沢車人形をこの先の未来へ受け継ぐために―。
車人形の魅力を伝える取り組みに迫ります。

150年以上の歴史を持ち、人形芝居用具が県の有形民俗文化財に、人形芝居が町の無形民俗文化財に指定されている、竹間沢車人形。
この貴重な伝統芸能を次の世代に語り継ぐため、町では竹間沢車人形の復活を描いた絵本、「かえってきた竹間沢車人形―三芳町・伝統芸能をよみがえらせた町―」を制作、販売しているほか、新たにメッセージアプリのLINEで車人形スタンプの販売を開始しました。まず多くの人に知ってもらい、魅力を伝える、そんな試みが始まっています。

○可能性への挑戦
保存会では伝統を守りながらも新たな可能性への挑戦も怠りません。「和」の竹間沢車人形と「洋」のチェロ演奏。そんな異色のコラボレーションをご存じでしょうか。
平成25年(2013)に古民家を会場に実施した試みで、車人形の動きに合わせてチェロのアドリブ演奏を行うイベントです。
大盛況だった公演から約10年が経った来年、満を持して第2回の開催を予定しています。

○次世代に語り継ぐ
また、保存会では小中学校での公演や体験教室を行っています。「ふるさと三芳の伝統芸能に直接触れることで、興味や愛着を持ってほしい」との想いで子どもたちに車人形の魅力を発信しています。そんな体験教室経験者の中には、大学生になった今も練習に参加しているメンバーもいるそう。
「実は私も車人形を始めたのはこの体験教室がきっかけなんです」。はにかみながらそう話すのは保存会の小澤さん。三芳町出身の小澤さんは中学校の教員。4年前に母校である三芳東中学校で保存会の活動を知り、「地域に貢献したい」と入会を決意しました。
今では人形の遣い手として会の貴重な戦力になっている小澤さん。「地域の文化に関心を持つ子どもたちと車人形との橋渡しをしたい」。と笑顔で話します。どんな伝統芸能でも、始めるときは誰もが初心者。「公演を見て車人形に関心を持ったら、一緒にやってみませんか」。

○時代を超え人を魅了する竹間沢車人形
埼玉県を、日本を代表する竹間沢車人形。時代を超えてなお、多くの人を魅了し、親しまれて続けているのは、保存会やそれに関わる多くの人たちの努力の結果に他なりません。
そんな保存会の1年の集大成となるコピスみよしでの車人形公演。地域の魅力を知るためにぜひ見に行ってみてはいかがでしょうか。(本紙P7参照)
―特集・終―

■世界でも3座だけ!?
車人形が誕生したのは、江戸時代末期の天保年間(1830~44)。入間郡加治村(飯能市)で生まれた西川古柳が創案したとされています。当時多摩地方で流行していた説経節と結びついて急速に広まりましたが、現在、伝統的な車人形芝居が演じられているのは三芳町竹間沢、八王子市下恩方、奥多摩町川野のみ。日本で3座のみということは世界でも3座だけ!?かもしれません。

○次の世代に手渡すために
伝統芸能は次の世代を育てていくことが一番大変。そんな中でも、竹間沢車人形保存会さんが持つ、新しい作品や演出を取り入れた魅力をしっかり伝えていければいい形で次の世代に手渡せると思います。3座しかない車人形。これからもお互いのつながりを大切にしていきたいですね。
八王子車人形西川古柳座 五代目家元
西川古柳(こりゅう)さん

■車人形×チェロ 和と洋のコラボレーション
○車人形の新たな可能性
三芳町は自分にとって、とても特別な町。新たな取り組みができるとしたら、こんなに嬉しい事はありません。
これまでに尺八やお琴とのデュオ、鼓と狂言師とのコラボなど、邦楽器との共演は何度か経験がありますが、車人形とのコラボは、音楽は西洋楽器であるチェロの自分1人だけ。表現に自由さが増すという意味でも、非常にやり甲斐があります。自分は長年西洋音楽を学んできましたが、折に触れて、根幹には日本人の血が流れているんだといつも感じています。その意味でも自分にしかできない表現があると思うので、これまでの経験や感覚、感性を出し尽くして演奏する事ができたら、面白いものが生まれるのでは、と、自分でもとても楽しみです。
ザ・シンフォニエッタみよし
チェロ奏者 海野幹雄(うんのみきお)さん

■三芳町”よみ愛・読書”ふるさと絵本
「かえってきた竹間沢車人形―三芳町・伝統芸能をよみがえらせた町―」
ーさげさかのりこ作
内容:昭和46年5月、三芳町竹間沢の前田家の納戸から、明治・大正期に活躍していた人形芝居道具一式が発見されました!それは、幕末に前田家に伝わった人形芝居から発展させた「車人形」の芝居道具一式でした。これが新聞で大きく報道され、町は大さわぎに…。「ふたたび、車人形を!」と決意した3人の男と応援する人々。猛特訓で技術を習得し、復活公演に挑んだ感動実話をもとに描くフィクション。
価格:1,500円(税込み)
販売場所:中央図書館、歴史民俗資料館、役場5階学校教育課、12/3(日)車人形公演時のコピスみよし
*図書館YouTubeで紹介動画公開中!

■LINEスタンプ販売中!
三芳町公式 竹間沢車人形
価格:1,500円(税込み)
40種1セット
LINEスタンプショップ:(L)50(¥120)で販売中!

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