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【市民のひろば】スポットライト~人・仲間~

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埼玉県上尾市

■日本刀の魅力を受け継ぐ
武器として生まれた美術品「日本刀」の鑑定家

◇遠山 正博(とおやま まさひろ)さん(二ツ宮在住)
保護司、社会教育委員、市スポーツ協会会長などを歴任し、更生保護功績で令和2年秋の藍綬褒章を受章するなど、さまざまな場で活躍する遠山正博さん。今回は、日本刀鑑定家としての顔を取材しました。
遠山さんは、埼玉県銃砲刀剣類登録審査委員、上尾市文化財保護審議会委員長を務め、主に刀剣類の鑑定を行っています。「日本刀は武器として生まれ、美術品として価値が認められて現代に伝わっている。形や刃文(はもん)、茎(なかご)など一振りとして同じものがない」と魅力を語ります。
鑑定をする上で、特に大切なのは「一級品を見ること」と言う遠山さん。刀剣研究家の村上孝介さんをはじめ、多くの人に師事し10年以上審美眼を磨きました。実力が認められ、刀苑(とうえん)社鑑定家連盟から奥伝(おくでん)を授与されたのは昭和52年10月。それから約46年間、第一線で鑑定を続けています。「鑑定は記憶力。日本刀を手に持ち、重さを感じ、形を見る。時代ごとに生活に即した姿をしているため、刀の形から時代が推察できる。さまざまな角度から刃文や地鉄(じがね)を見て、産地や作者を推察していく。特徴を全て覚えて見ていくと違いが分かって楽しい」と言います。
そんな遠山さんが危惧するのは後継者不足。「日本刀は、砂鉄からたたらで玉鋼を作る人、鍛える人、研ぐ人、鞘(さや)を作る人など多くの人が関わる総合芸術。刀鍛冶だけを育成するのではなく、全体を育てて大切にしていかないと伝統は守れない。継承していく環境づくりが大切」と危機感を募らせます。「地景(ちけい)や焼きなどは古い刀ほどきれい。現在作られている刀を古い刀と比べる人がいるが、鉄の分子は移動し続けている。500年以上経ったとき、全く違う評価がされているかもしれない。目先ではなく、長い目が必要」と話します。
「出会いがあれば別れがある、しかしその後には再会する。全ては自分に返ってくるので、それなら良いことをしたい」と言う遠山さんの人柄は、多くの活動実績にも表れています。「持って重み、形、刃文を感じ、日本刀の魅力を知ってほしい」と中学生や地域の人向けに日本刀の講演会も行っています。今後も人から人へ、日本刀の魅力を受け継ぐため、研鑽(けんさん)を重ねていかれます。

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