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【保健センター通信 一歩(いっぽ)ふみ出す健康づくり】今月の健康 No.500

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埼玉県上尾市

■コロナ禍における子どもの心の健康
新型コロナウイルス感染症は感染症法上の位置付けが変更され、限られた医療機関による特別な対応から、幅広い医療機関による自律的な通常対応へと変更されました。世界で650万人以上が亡くなるというコロナ禍で、わが国は欧米のように危機的な事態には至らなかったものの、マスクの着用、3密の回避、急速なデジタル社会への進展など、大きな社会生活の変化がありました。子どもたちも、突然の休校、給食の「黙食」、課外活動や運動会など集団活動の停止などによって、人と人とが触れ合う機会を奪われ、大学生はオンライン授業の導入によって、入学しても級友の顔すら知らない学年が生まれる状態でした。
就寝時間が乱れて遅くなり、テレビゲームをしたりスマートフォンを見たりする時間が増えました。そして、不登校が増え、自殺が増えました。先進諸国の中で自殺率の高いわが国は、国を挙げて自殺予防に取り組み、14年連続3万人を超えていた自殺者数が平成24年から減り始めて2万1千人を切るまでに減っていたのですが、コロナ禍によって再び増加に転じており、特に子どもと女性の自殺が増えているのです。
在宅ワークが増え、家族が一緒に過ごす時間が増えたのは良かったのですが、一方、家族間の確執が強まって、ドメスティックバイオレンスなど家庭内の不和が激化することもあります。親から虐待を受けるなど、つらい思いをして心を病む子どもが増えました。居場所を失い、孤立を深める子どもたちは、ゲームやスマートフォンに依存してしまいます。
こうした心を病む子どもを診察できる小児科医、児童精神科医は極めて少ないのが現状です。しかし、IT化やデジタル化が急速に進んでも、子どもたちの多くは柔軟にその変化に対応していくでしょう。子どもたちが元気に成長できるよう、大人たちは心豊かに生活できる地域社会を築いていかなければなりません。

〜上尾市医師会〜 上尾の森診療所 佐藤 順恒

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