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【市民のひろば】スポットライト~人・仲間~

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埼玉県上尾市

■人物の感情を歌声に乗せる~ベランダから飛び立ったオペラ歌手~
◇田仲 由佳(たなか ゆか)さん (平塚在住)
舞台は平塚公園がオープンして間もない頃の平塚。ふと聞こえる無邪気な歌声に気付くと、自宅ベランダでお気に入りの歌を口ずさむ少女の姿がありました。「あの頃、私のステージはベランダでした」。そう語るのは市制施行65周年記念式典で歌唱を披露する予定のオペラ歌手、田仲由佳さんです。
物心付いたときから歌うことが大好きだった田仲さん。幼稚園のお遊戯会でプリンセス役に選ばれ、演じるという行為が心から楽しく感じられたそうです。その後は歌も演技もほとんど機会に恵まれませんでしたが、高校在学時に転機が訪れます。音楽の教員に才能を見いだされ、大学で声楽を学ぶことを勧められました。そして、進学した声楽コースでの恩師との出会いが、オペラ歌手を目指すきっかけとなります。恩師からは「美しい旋律をただ綺麗になぞるのではなく、役の心情を想像し歌に込める」と教わりました。人間の生活や感情と身近なオペラの奥深さにすっかり魅了されたと言います。その経験から、常に演じる役の心情を自らの歌声に乗せるため、戯曲の背景知識や表現方法を学び続けました。
研究生修了後、27歳で藤原歌劇団の準団員としてプロの道を歩き始めます。『フィガロの結婚』では伯爵夫人、『ヘンゼルとグレーテル』では主人公を演じるなど、経験を積み重ねています。昼は事務の仕事、夜は稽古、休日はコンサート、就寝が午前1時を過ぎることも珍しくありませんが「好きな仕事でお客さまに喜んでいただけることがやりがいなので、苦にはならないです」と笑顔を見せます。
そんな田仲さんは平成23年の東日本大震災の時「表現者として今、できることは何だろう」と自問自答を重ね『「イマデキ」プロジェクト』を立ち上げました。同年5月には義援金を募るコンサートを開催し、多くのアーティストが集まりました。震災被災者支援チャリティコンサートをはじめ、これまでに7回の催しを展開するなど、活動の幅を広げています。
田仲さんの夢は、上尾でオペラ公演を主催することだそうです。「オペラは難解で敷居が高いと思われがちですが、ぜひ、デニムとTシャツ、そんなラフな服装で気軽に足を運んでほしいです」と頬を緩めました。幼い日の歌声は、柔らかく澄んだ高音へと進化を遂げ、近い未来、上尾の大きなステージで感動の歌声を響かせることでしょう。

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