地域で実現する快適・安心・エコな暮らし
断熱改修を担う住まいづくりのプロフェッショナル集団「さいたま断熱改修会議」
佐藤喜夫(さとうよしお) さん(東町在住)
5年前の夏の某日。ある一級建築士が顔なじみの同業者に呼びかけました。「それにしても日本の家は暑い。簡単に一年中快適に過ごせる方法があるのに。断熱改修を埼玉から全国に広めていこう」。仲間を鼓舞し「さいたま断熱改修会議」を立ち上げたのは工務店を営む傍ら、同会議の議長を務める佐藤喜夫さんです。
大学卒業後ゼネコンに就職した佐藤さんは、マンション、工場、庁舎などの施工管理を手掛けた経験を生かし、父が営んでいた工務店に活躍の場を移します。築45年の鉄骨造事務所は、外壁への断熱材の追加や最新の高断熱サッシへの交換によって、エアコン1台で隅々まで暖かい空気に包まれています。「無断熱の住宅が全体の3割以上を占めるといわれる日本の住宅は、夏は暑く冬は寒い。夏場は太陽熱を遮り、冬は熱を外に逃がさない工夫が必要です」と話します。
住宅の性能を向上させ、健康維持やエネルギー消費削減にもつながる断熱改修の素晴らしさをもっと多くの人に伝えたい。在宅時の熱中症やヒートショックをなくし、快適に安心して暮らしてほしい。そんな強い思いから県内の工務店、設計事務所、建材メーカーなど、住まいづくりのプロフェッショナル13社が一丸となり発足したさいたま断熱改修会議。メンバーは勉強会や情報交換で知識と技術を高め合っています。
その名を一躍有名にしたのは、県内小学校で学校関係者と一緒に実現させたワークショップでした。校舎の最上階の教室は冷房をつけても連日30度を超えてしまうため、学習に集中できる環境に改善してほしいと地域から相談があったことがきっかけです。「断熱材を敷き詰め、遮熱パネルを作る作業を体験した子どもたちは涼しくなった教室に大喜びでした。壁に使用した杉の香りも気に入ったようで何よりです」と満面の笑みで振り返る佐藤さん。環境保全への取り組みが評価され、実行委員会の一員として「令和4年度彩の国埼玉環境大賞奨励賞」を受賞。メディアでも大きく取り上げられました。
今年度は「住まいの断熱改修セミナー」を市と共催しました。「暑さ寒さを我慢しないでください。補助金を活用し、住みながら改修することもできます」と訴える佐藤さんは「知識を持った地元業者による断熱改修が増えれば地域の産業として定着します」と今後のビジョンを語ります。上尾から、快適・安心・エコな暮らしを地域で実現し、日本の家を変える大きな一歩が踏み出されます。
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