毎年、5月連休が終わると、虫さされ(刺虫症)の患者さんが現れ始めますが、今年は、4月より早くも、何かの虫に刺されて、痒みを訴えてみえる患者さんが多くみられるような気がします。イエダニやトリサシダニなどによる被害も、刺されている場面をまず見ることができません。ネズミやスズメなどの巣から出てきて、人が寝ている間に衣類のすき間に入り込むようで、体幹や四肢に「紅色丘疹(こうしょくきゅうしん)」が認められることが多いです。刺された(触れた)直後から1時間以内に痒みが出現し、搔(か)きまくって、市販薬をつけた後、医院(皮膚科)を受診されることになると思います。虫と言えば夏と思われがちですが、そうとは限りません。現在、日本では、高齢者だけでなく、若者もベッドを使用することが多いと思われますが、皆さん、掃除をしていますか?マットレスの下に、ダニ予防パットを敷いたり、寝具類を日光に当てたりすることが必要だと思われます。刺された後の皮膚反応自体に個人差があることや、同じ部屋で生活していても刺されない人もいることから、家庭内に同じ症状の人がいなくても、刺虫症を否定する根拠にはなりません。ペットからの感染やベッド上に置くたくさんのぬいぐるみ(マスコット)などの管理にも気をつけていただきたいと思います。治療は、症状(主に痒み)に個人差がありますが、抗ヒスタミン剤やステロイド剤の外用薬、抗アレルギー剤の内服が使われます。マダニ刺症では、患者の体に虫がついて来院されますが、ツツガムシ病、日本紅斑熱(こうはんねつ)なども知られていて、田畑や庭木や草花に触れる機会が多い方々には、たかが虫さされといっても油断できません。痒みの軽いうちに、治療を開始し、「痒疹(ようしん)」にならないように、皮膚科を受診されることをおすすめします。
〈提供:(一社)桶川北本伊奈地区医師会〉
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