「運動を始めたら胃腸の調子が良くなった」という経験のある方は多いのではないでしょうか?運動不足と胃腸の不調の関係について専門家による診療ガイドラインを参考にまとめてみました。
■内視鏡検査が正常なのに胃の症状が治らない ~機能性ディスペプシア(FD)~
内視鏡検査で異常がないのに胃の不調が続くのが機能性ディスペプシア(FD)です。胃の知覚過敏や運動異常が原因とされています。FDは運動不足と関連しています。難治性のFDの患者さんは、そうでない患者さんよりもさらに運動不足の傾向があります。運動をすればFDがよくなるという明確な根拠はまだありませんが、FDには不規則な睡眠やストレスも関わっており、それらは運動で改善することもわかっているため、運動の効果は期待できそうです。
■内視鏡検査では正常なのに腸の症状が治らない ~過敏性腸症候群(IBS)~
同じく検査は正常なのに腹痛や腹部膨満感を伴う便秘・下痢など腸の症状が続くのが過敏性腸症候群(IBS)です。IBSに運動療法は有用であり、適度なヨガ、ウォーキング、エアロビクスなどの運動は治療効果があります。
■慢性便秘症 ~排便困難感、残便感~
体を動かすことの少ない人ほど便秘になりやすい傾向があります。また、野菜・豆類・きのこ類などの食物繊維は便秘の治療に有効ですが、身体活動性の低い人はその効果が低いとも言われています。
■逆流性食道炎、胃食道逆流症 ~しつこい胸やけ~
週1回以上の適度な運動(30分以上のジョギングなど)で胃食道逆流症の発症リスクは下がります。一方、筋力トレーニングなどの激しい運動では、胃酸の逆流が増えることも報告されています。胸やけなどの症状が気になるときは軽い運動を中心にした方が良さそうです。
運動は大腸がんをはじめとしたがんの予防にもなります。「息がはずみ、汗をかく程度の運動を毎週60分行うこと」という厚労省の提言を参考に運動を心がけましょう。
〈提供:(一社)桶川北本伊奈地区医師会〉
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