コラム 未来へのリレー

23／25

乾物の魅力を発信しSDGsに取り組む「DRYandPEACE」田平　恵美さん

○プロフィール
2002年より食と社会のつながりを重視した食育ワークショップを開催。乾物を未来食と捉え、現代の食卓に合った活用法を研究している。2023年5月に「キッチンからはじめるSDGs-乾物と米粉でサステナブル・クッキング-」を刊行。

乾物の持つ魅力に気が付いたのは10年ほど前。南米の食材店でジャガイモの乾物「パパセカ」に出会ったことがきっかけです。乾物なら遠い国の郷土料理が簡単に運べることが面白いと研究を始めました。
その数ヶ月後に東日本大震災が起きました。計画停電で冷蔵庫が使えず、スーパーに行くと生鮮食品は売り切れ。でも乾物は棚に残っていたんです。誰も使い方を知らないのではないかと思いました。
乾物は常温で保存でき、種類も豊富。うまく組み合わせれば栄養的にも整った料理ができます。余った大根を千切りや輪切りにして干しておけば、自分でも作れます。冷蔵庫に眠る野菜も乾物にして最後まで使えば、食品ロスの削減につながります。
個人の畑で野菜を作っている方から、食べきれないという話をよく聞きます。余った野菜を乾物にして、考案したレシピと合わせて、こども食堂に届けるような活動ができないかと思っています。
食卓は世界に繋がっています。食材はどこから来ているのだろうとか、運搬に必要なエネルギーはどのくらいかなど、まずはちょっと考えてみて、できることをちょっとだけやってみる。その積み重ねが、これからの世の中を少しずつ変えていく可能性があると思っています。