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法律相談コラム

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埼玉県八潮市

法律相談などで多い事例とそのアドバイス

■保護命令制度について
▽質問
夫からの日常的な暴力に耐えかねて離婚を切り出したところ、逆上した夫から思い切り顔面を殴られ大けがをしました。現在、夫から身を隠して生活していますが、夫は私のことを必死に探しているようです。今後離婚の話し合いをするにしても、まずは身の安全を確保したいと思っています。何か方法はないでしょうか。

▽回答
裁判所に対し、保護命令の申立てを行うことを検討してください。
保護命令制度とは、配偶者や生活の本拠を共にする交際相手からの身体に対する暴力を防ぐため、被害者の申立てにより、裁判所が、加害者に対し、被害者へのつきまといなどをしてはならないことなどを命ずる命令です。保護命令には5つの種類があり、(1)被害者への接近禁止命令、(2)被害者への電話等禁止命令、(3)被害者の同居の子への接近禁止命令、(4)被害者の親族等への接近禁止命令、(5)被害者と共に生活の本拠としている住居からの退去命令があります。命令の効力期間は(1)~(4)は6カ月、(5)は2カ月です。裁判所の発令した保護命令に違反した者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。
ご質問のケースでは、身体に対する暴力があり、今後も身体に対する暴力を振るわれて生命や身体に重大な危害を受けるおそれが大きいといえ、保護命令が発令される可能性が高いと考えられます。保護命令の発令にあたっては、けがの写真や診断書などが重要な判断材料となりますので、できる限りこれらの証拠を準備するようにしてください。申立てにあたっては、弁護士や警察、配偶者暴力相談支援センターにご相談ください。
なお、令和6年4月1日より改正DV防止法が施行され、精神的暴力や性的暴力についても保護命令の対象となるほか、期間が6カ月から1年に延長され、命令に違反した場合の罰則が「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」に引き上げられます。さらに、被害者の子どもへの電話を禁じる命令も新たに加わります。近年多様化するDVに対し、対応が強化される見込みです。

問い合わせ:埼玉弁護士会越谷支部 井上あすか(弁護士)
【電話】962-1188

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