法律相談などで多い事例とそのアドバイス
■「お試し」だけのはずが定期購入に
▽質問
インターネット通販で、サプリメントをお試し価格(500円)で購入しました。「お試し」だけのつもりでしたが、2カ月目以降も商品が届き、送付の取り止めの連絡をしたら、高額(1万円)の請求を受け、実は定期購入であったことが発覚しました。販売サイトには小さく定期購入であることの記載がありますが、申し込みの際に定期購入契約との表示はありませんでした。料金を支払わなければならないのでしょうか。
▽回答
近年、販売サイトなどで「初回実質0円」や「1回目90パーセントオフ」など、通常価格より著しく低価格で購入できることを広告する一方で、実は定期購入が条件となっていた、というトラブルが多発していました。
このような状況を受け、特定商取引法が改正され、2022年6月1日に改正特定商取引法が施行されました。
この法律では、インターネット通販事業者に「最終確認画面」にて契約の詳しい内容を記載することが義務付けられています。つまり、顧客が「注文確定」の直前段階で、無期限の定期購入契約であること、購入する商品の分量、販売価格(購入者が負担する金額)などの契約の申し込みの内容を簡単に最終確認できるように表示しなければなりません。インターネット通販事業者が契約の申し込みの内容を表示しなかったり、不実の表示や消費者を誤認させるような表示を行った場合、これにより誤認して申し込みをした消費者は、申し込みの意思表示を取り消すことができます。
今回のケースでは、申し込みの際に定期購入契約との表示はなかったとのことですから、相談者は購入の申し込みを取り消すことができ、料金を支払わなくてよいと考えられます。
また、今後は低価格を強調する広告に飛びつかず、注文する前に販売サイトや「最終確認画面」の表示をよく確認したほうがよいでしょう。契約を取り消す際の証拠として、「最終確認画面」のスクリーンショットを保存しておくことも有効です。
問合せ:埼玉弁護士会越谷支部 松本侑樹(弁護士)
【電話】962-1188
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