文字サイズ
自治体の皆さまへ

法律相談コラム

31/40

埼玉県八潮市

法律相談などで多い事例とそのアドバイス

■障がい者に対する事業者の配慮の義務
▽質問
私は事故で脊椎(せきつい)を損傷し車いすで生活しています。喫茶店に入ろうとしたら、車いすを理由に「混雑時間帯は遠慮してください」と入店を断られましたが合法ですか。
お店の入り口の段差が車いすだと乗り越えにくい場合に、店員さんに手伝いをお願いすることは認められますか。

▽回答
民法の契約自由の原則によれば、お店がお客を選ぶのは自由です。しかし、健常者のお客は混雑時も無条件に受け入れるのに障がい者だけ拒絶するのは、障がいを理由とする差別であり、平等原則に反し、障がいがある人の人格を傷つけ、社会参加を困難にします。
そこで障害者差別解消法が2016年4月から施行され、民間事業者にも一定の義務が定められています。
まず、事業者が、障がいを理由として「不当な差別的取扱い」を行うことは禁止されました。質問の例で、車いすを理由に入店自体を拒否することは、正当な理由がない限り「差別的取扱い」にあたり、お店側の法的責任が生じる場合もあると考えます。他にも、障がいを理由に入学試験の受験を断る、不動産仲介業者が「障がい者向け物件はない」として紹介を断る、介助者が一緒でないと入店を断るなどは、いずれも「差別的取扱い」の典型例と考えられます。
また同法は、事業者は「実施に伴う負担が過重でない」場合、本人の求めに応じてバリア除去のために「合理的配慮」をするよう努めなければならないとしています。車いすの例で、店員さんが段差で介助する、高いところのメニュー表をとって手渡すなどは、「合理的配慮」にあたると考えられます。努力義務であり、事業者は合理的配慮を提供しなくても直ちに違法の評価を受けるわけではありませんが、提供の努力をすることが法律の趣旨にかなうと言えます。

問合せ:埼玉弁護士会越谷支部 北川浩司(弁護士)
【電話】962-1188

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU