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自治体の皆さまへ

令和6年能登半島地震から学ぶ「もしも」の前に―(2)

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埼玉県加須市

【Interview 三俣第一区自主防災会】
◆まちと人との“協働”を胸に
令和元年台風第19号の後に市が行った市民アンケートでは、避難情報の入手方法として「自治協力団体(自治会)の訪問」や「家族や近所の方の声かけ」と回答した割合が、防災行政無線やラジオなどよりも高く、自治会や自主防災組織の担う役割の大きさが再認識されています。
そこで今回は、地区防災計画を定めるなど活動に力を入れている、三俣第一区の方に想いをお聞きしました。

○いざというとき体が自然と動くように
三俣第一区自主防災会は、平成14年3月、市からの要請をきっかけに、不動岡三丁目自主防災会と同時期に、市内で初めて設立された自主防災組織です。震災に火災はつきもの。消火訓練に力を入れていきたいと考え、用具の点検を機会に、定期的なミニ訓練を行うようにしています。スポーツと同じで、積み重ねが大切だと感じています。
地区防災計画を作成するときに意識したのは、絵に描いた餅にならないような、具体的で分かりやすいものにすることです。フローチャートを定め、安否確認は、世帯数だけでなく人数も把握するようにしています。また、マイタイムラインの作成を推奨し、日頃から自分事として考えてもらえるような工夫をしています。

○良い取り組みは見本にして住民を巻き込む防災を
課題に感じているのは、住民の巻き込みです。三俣第一区にはアパートが多く、高齢者よりも若年者が多いので、自治会に加入していない方にも、災害時に連絡が届くような方法を考えています。また、災害時要援護者を把握するため、民生委員との連携を強めていきたいです。
最近では、災害が起こったときの動きや日頃の備えを確認してもらえる防災アンケートの定期実施を始めました。北川辺の駒場地区の取り組みを見本にしたもので、アンケート結果の活用だけでなく、住民への意識づけにもなると考えています。
これからも協働の精神を大切に、行政や他の自治会との意見交換を重ね、良いと思うことはどんどん取り入れていきたいですね。

【Interview 加須市防災士連絡会】
◆“防災士”を知っていますか?
阪神・淡路大震災をきっかけに「地域の防災力」の重要性が再認識されました。防災士は、平成14年に創設された日本防災士機構によって認証され、「社会のさまざまな場で防災力を高める活動をするための十分な知識と技能を習得した人」とされています。
市内の防災士をまとめる組織として今年発足した加須市防災士連絡会の方に、今の想いをお聞きしました。

○学びと共有を積み重ねて地域の防災力を高める
小西さん:
令和元年の台風第19号により、北川辺・大利根地域を中心に避難指示が出されました。当時、避難者、避難者を受け入れる側、両者に戸惑いがあったと感じ、以来、この状況を何とかしなければと考えていました。昨年、市主催の防災士養成講座が行われ、講座を通じた資格合格者は63名。高まる防災意識を無駄にせず、組織として地域に働きかけていこうという思いから、講座以外で防災士となった人も加わって、加須市防災士連絡会が始まりました。
会の活動は、まだ模索段階にありますが、加須・騎西・北川辺・大利根、各地域が抱える防災課題それぞれに向き合い、訓練で得た学びを共有し、自助の力を高めていく。その積み重ねに尽きると考えています。
これからも各地域の防災意識を高める活動を続けて、一人ひとりがいざというときに主体的に行動する自覚を持ち、それを次の世代につなげていく、地域づくりの力になるよう、努めていきます。
畑中さん:
まずは、地域などの防災訓練に参加してみてほしいです。実際にやってみることで、見ていただけでは気がつかなかったことに気づけます。例えば、こどもが避難所で何に困るのか、乳幼児の心肺蘇生を焦らずにできるのかなど、想像力を働かせて自分事として考える習慣をつけてもらえたらと思います。
寺本さん:
避難所に何を持っていくのか、準備ができていない人がまだまだいます。自治会加入率が低下し、地域のつながりが弱まる中、災害時に助け合える地域づくりのために何ができるのか、日々考えています。また、行政と異なる立場だからこそできることがあると信じ、防災を他人事にしない、緊迫感のある訓練の内容を考えています。
松村さん:
自助なくして共助なし。共助なくして公助の効果なし。いざというときに行政だけのせいにしない、そんな地域の力を信じています。台風第19 号での学びを活かし、市民が積極的に避難所運営に関わる意識を持ち、その中心を防災士が担っていくような状態を目指したいですね。

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