■浄楽寺の太子様
昔、騎西の浄楽寺に聖徳太子(太子様)を祭ったお堂がありました。騎西城主の守り本尊と伝えられ、大工や左官などの職人が一心に拝むと腕が上達するといわれ、参詣の人が絶えませんでした。
ある日のこと、このお堂の前を馬に乗った武士が通りかかりました。少しためらいながらも馬上のまま通り過ぎようとした時、突然のイナナキとともに馬が暴れ出し、あっという間に振り落とされてしまいました。この様子を傍らで見ていた信者は、太子様の霊験のあらたかさに改めて感心したということです。
浄楽寺は騎西城と深い関わりを持ち、城主であった大久保氏の家臣たちも檀家として土着しています。
この太子堂は32畳程の大きなお堂でしたが、1862(文久2)年に取り壊されました。信徒の要望で1917(大正6)年に再建され、〝太子講"で聖徳太子を描いたお札も頒布されていました。現在では、老朽化のため解体されています。
紹介者:正能晴雄 加須市文化財保護審議会委員
○浄楽寺
住所:騎西59-4
問合せ:生涯学習課
【電話】0480-62-1223
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