秋空の下、神輿(みこし)を担ぐ声が街に響き渡ります。コロナ禍を経て、再開した地域のまつり。主催した皆さんの思いを紹介します。
3年続いたコロナ禍により、町内でも地域のまつりが中止を余儀なくされました。そんな中、地域のみんなが話し合って、久しぶりに、まつりを再開した様子を紹介します。
■8町会(新道、宮代、中央、笠原8町会)
◇昭和50年 まつりを始める
8町会は、新道、宮代、中央、笠原地区の連合組織として、昭和50年に結成されました。
この区域は東武動物公園駅の西口に位置しています。当時を知る同会顧問の唐沢さんは「当時、この地域は百間新道商店街を中心とした新興住宅地で、駅の西口も開設されたばかりで、建物もまばらだった」と振り返ります。
このような中、地域の交流と結束を深めようと、昭和51年に子ども神輿(みこし)と山車(だし)をつくり、夏まつりを開催しました。以来、毎年欠かさず開催し、平成元年には待望の大人神輿をつくりました(表紙写真)。
◇コロナ禍を乗り越えて 秋の開催
そんな夏まつりも令和2年、3年はコロナ禍だったために開催することができませんでした。8町会の青木会長は「それでも、みな、再開したいという思いは強かった。中止している間も役員さんたちには年に2回、まめに通知を出し続けた」と話します。
令和4年には子どもを対象に小規模な秋まつりを開催し、昨年の10月からは、ようやく本格的な秋まつりを開催しています。
8つの地区との話し合いで「夏はあまりにも暑すぎる」という意見が多かったため、秋に開催することになったそうです。青木会長は「地域のみんなが集まって交流することは大事なこと。コロナ禍を理由に、まつりをやめてしまおう、という考えはなく、むしろ、たくさんの皆さんの声は後押しになった」と話します。
◇地域のみんなで
秋まつりの当日、メイン会場になる新道集会所とその前にある新道児童公園には地域の皆さんが集まります。焼きそばやポップコーン、わたあめの屋台には子どもたちが列をつくります。景品の抽選会では歓声が上がります。
午後になると、8町会の神輿好きでつくられた「睦神輿会 無双(むつみみこしかい むそう)」のメンバーが集まって来ます。やがて公園の中央に置かれた神輿が出発します。
駅前を、進修館の前を、住宅地の中を、百間新道商店街を、声を合わせながら神輿が巡行します。家の玄関から出てきた人が、道に出て声をかけます。心あたたまる秋の日の光景です。
■和戸町内会
◇7つの地区で
和戸町内会は和戸1丁目から5丁目までの7つの地区で組織されています。この地域で「和戸宿夏祭り」が始まったのは昭和40年代から。まだ新しい住宅地だったこの地域を盛り上げようと、開催されました。
当時は盆踊りやカラオケが中心でしたが、「樽に棒をつけて神輿にした『たるみこし』で盛り上げた」と、町内会長の中村さんは当時を振り返ります。その後、昭和60年に地元の建設会社が神輿や山車をつくり、現在に至っています。
◇世話人たちの活躍
コロナ禍で夏まつりの中断がありましたが、「今度はどんなふうにやろうかと考えていた」と、まつりを企画、実施する世話人代表の海老原さんは話します。中止が長く続くと世話人たちのつながりも途切れてしまうと考え、令和4年には小規模な秋まつり(ハロウィン祭)を開催したそうです。令和5年には、ようやく「和戸宿まつり」を再開しました。今までは7月に実施していましたが、「暑すぎる夏」を避けて9月の開催となりました。野外に作られた舞台のまわりや通りには、たくさんの人が集まりました。
◇「20歳のみこし」で地域を活性化
和戸町内会は毎年「新成人みこし」を実施しています。その年に20歳になった人たちに、神輿を担いでもらい、みんなで祝おうという企画です。もう17年間続いています。今年は20人ほどの男女が参加しました。若者たちの「地元デビュー」です。
世話人の皆さんは「若い人たちが参加することで活気が出るし、地元愛も生まれる」と口をそろえます。この「新成人みこし」がキッカケで地域の中で活躍する人材が発掘され、地域の活力にもつながっています。とても良い取り組みです。
8町会、和戸町内会ともに、主催者も参加者も、笑顔でまつりを楽しんでいる姿がとても印象的でした。地域行事への参加で顔見知りも増えます。交流や活動の始まりです。参加した子どもたちが、いつかは企画する側になったら素晴らしいと感じました。
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