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今月のFujimist

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埼玉県富士見市

■横田 綾子(りょうこ)さん(画家)

◇美術の神様がほほ笑んだ
透明感の漂う清涼な世界にいざなう「顕現(けんげん)・青(あお)」が、県内最大規模の公募美術展である埼玉県美術展覧会日本画部門で今年の最優秀賞を受賞した。「鉱物を通して見える山や川などの自然、都会のビル群の景色、自然が生み出す透明感を表現しました」と語るのは、市内在住の画家・横田綾子さん。
絵を描くことの原点は、小学生のとき図書館で偶然手にした1冊のファンタジー漫画。独特の世界観と作中に出てくるクリスタルなどの鉱物に心惹かれるとともに、自分もこんな絵を描きたいと衝動に駆られた思い出は今も色あせない。美術大学に進学後、本格的な創作活動を始めた。日本画を専攻し、江戸時代から継承される天然の素材を用いて絵の具を作るすべを学んだ。
天然素材の絵の具は気温などに左右され、乾く前と後では違った色合いになることもある。少しずつ時間をかけて、絵を育てていく工程は、まるで年月をかけて自然の営みが作り出す鉱物のようだ。近年は温暖化などにより、絵の具の調合がより難しくなり、思い通りの絵が描けないことも多い。
「作品の出来は美術の神様がほほ笑むかどうかで決まる」との学生時代の恩師の言葉が、画家になった今ようやく理解できるようになったと笑みを浮かべる。

◇自分が心から美しいと思うものを描く
「透明感、純粋な形、鉱物は自然界で生み出されるものの中で一番美しい。きれいな石を見ると心が癒されるんです」と鉱物の魅力を語る横田さん。なぜ、モチーフが石なのか聞かれることも多いというが、自分が心から美しいと思ったものを描いた結果が鉱物なのだという。「鉱物をモチーフにした画家は世界でも珍しいようで、将来は海外に挑戦したいと思っています。私の作品を通して、鉱物の見せる新しいイマジネーションの世界を届けたい」と横田さんは世界を見据える。
伝統的な技法と鉱物への情熱をもって振るう魔法の筆は、観る人の心に青く澄んだ世界を描いてくれるだろう。

問合せ:秘書広報課
【電話】049-256-9535

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