■東城 弥恵さん(ソプラノ歌手)
◇オペラでつながる一期一会を大切に
「日ごろ応援してくださる市民の皆さんの前で歌えることがとてもうれしいです」と語るのは、9月にキラリ☆ふじみで行われる「オペラの宴~秋川雅史とオーケストラ・コンサート~」に出演する、市内在住のソプラノ歌手・東城弥恵さん。
歌うことが好きな家族で、家には歌があふれている中で育ち、東京藝術大学在学中にオーディションで主役デビューを飾った。舞台には全身全霊で挑み、ドラマチックな歌声で多くの感動を生み出してきた。「感情豊かな役が好きで、“変身”する役が多いかも」という東城さんは、広い音域を自由自在に歌い分け、聴いた人の思い出を色鮮やかにし、感情を揺さぶる。感極まった観客が涙を流す姿や、「生きる力をもらえました」との言葉がうれしかったと話し、自身も目を潤ませる。
オペラに心血を注いできた人生だが、後悔していることがある。それは子どもを出産した3か月後の舞台のこと。やれる自信があり引き受けたが、体調不良で代役を立てなければならなくなった。「私の歌を楽しみにされていた方々が、帰り際に見せた残念そうな顔がいまだに忘れられません」。代役を立てたのは後にも先にもこの一度だけであるが、昨日のことのように思い出す。「オペラは、演者だけではなく観客の皆さんも含め、みんなで作り上げるもの。同じ舞台は一つもないんです」と一期一会の出会いを大切にし、今日も体調管理は欠かさない。
◇人生経験が表現力を彩っていく
育児や義親の介護のさなかも歌をやめることはなかった。子どもが体調不良で入院したときには、十分な睡眠を取らず病院から舞台に向かった。育児と舞台を両立する東城さんの姿に、母は「強くなったね」とねぎらった。さまざまな経験を経たことで歌にも深みが増し「いい歌が歌えている。これからもっと良くなるよ」と師匠から贈られた言葉が心底うれしかった。歌にも家族にも、懸命に愛情を注いできた東城さんは「これから先の経験も歌に生きてくると思うと楽しみです」と語る。
まさに自身の当たり役と評されるトスカの『歌に生き愛に生き』がオペラで長く愛され続けてきたように、歌と愛に生きる東城さんの歌声は、これからも観客の心を震わせることだろう。
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