■思いつくまま 気のむくまま 78
◇ドクター内田のひとりごと「大丈夫」
10月になりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。運動の秋です。暑いから動けなかったという言い訳はできません。でも食べ物がおいしくなります。そんな言い訳ができる月でもあります。
先日はまさかの失敗をしてしまいました。訪問診療に行ったのはいいのですが、なんと聴診器を持って行くのを忘れたのです。商売道具を忘れるなんて、竿を忘れて釣りに行ってしまったようなものです。なんとも情けないやら恥ずかしいやら…。
さて、先月はラジオについて書きました。今月は映画の話です。映画は嫌いではないですが、それほど見るわけでもありません。でも、先日見た映画がとても印象的だったので紹介します。「キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩(うた)」。第二次世界大戦中に同じアパートに住んでいたウクライナ、ポーランド、ユダヤ人の3家族を描いた物語です。その地域はナチス・ドイツの侵攻やソ連によって次々に占領され、ポーランド人とユダヤ人の両親たちは連行されてしまいます。歌の先生でもあったウクライナ人の母が、残されたポーランド人とユダヤ人の娘を、自分の娘と同じように育て守っていくストーリーですが、日々変化する情勢に脅えつつも愛をもってしたたかに生きていく姿、特に自分を顧みず他者のために自分を犠牲にして正義を貫く姿に心を打たれました。と同時にあらためて戦争の恐怖を教えられました。
話は変わって、「暮しの手帖」前編集長の松浦弥太郎さんが、とある雑誌のエッセイで聖路加国際病院の小児科医、細谷亮太先生の話を綴っていました。細谷先生が大切にしている言葉は「大丈夫」。まもなく命を失いそうな子どもたちにも、常に「大丈夫」という言葉をかけるのだそうです。そのエッセイの中には、「大丈夫」というのは苦しみを取り除く幸せを意味する仏教用語で、1500年以上前から記されているとありました。つまり、「大丈夫」という言葉は祈りでもある、と。松浦さんはそのことを知って以来、日々の暮らしの中で自分が支えられなくなりそうなとき「大丈夫」と何度も口に出し自分の耳に聴かせているのだそうです。
たしかに、普段の診療の中で患者さんに「大丈夫、大丈夫」と軽く言うのと、真顔で真剣に「大丈夫」と言うのでは、その重さは違います。人生経験を積んだ人から、「大丈夫、なんとかなる」という言葉をかけられるとその安心感も絶大かもしれません。
前述したウクライナ人の母親は、絶体絶命の危機に遭遇しても子どもたちの前では「大丈夫」という強い信念をもっていた気がします。「大丈夫」って力強い言葉だなあと思えます。祈りの言葉という表現に納得です。
大丈夫だ、心配するな、なんとかなる(一休宗純[一休さん]:宗教家)
頑張れより、大丈夫のほうが楽だったりする(大倉忠義:歌手、俳優)
今回は自分に言ってやりたい。聴診器忘れて診察に行くなんて医者、大丈夫?
今月も、「大丈夫」とつぶやきながら頑張りましょう。
院長 内田 望(うちだのぞむ)
《外来からのお知らせ》
◇休診 (9月14日現在)
10月21日(土) 整形外科 前田先生
10月26日(木) 総合診療科 瀬戸先生
◇発熱外来
発熱や咳など呼吸器症状等のある人は、発熱外来で対応します。必ず、事前にお電話(【電話】75-2332)いただき受診方法をご確認ください。
対応時間:13:30~(受付時間:8:30~14:00)
〈お子さんをお持ちの人へ〉
小児については、小児科医による診察が望ましく、かかりつけ小児医療機関や埼玉県新型コロナウイルス感染症県民サポートセンター【電話】0570-783-770(24時間対応)に電話などでご相談ください。
最新の休診情報は、町立病院のホームページ「診療日カレンダー」でお知らせしています。
※休日急患当番医は本紙23ページをご覧ください。
問合せ:国保町立小鹿野中央病院(小鹿野町小鹿野300番地)
【電話】75-2332
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