■思いつくまま 気のむくまま 79
◇ドクター内田のひとりごと「当たり前のありがたさ」
あれほど暑いと言っていた夏は過ぎ去り、かなり肌寒くなってきました。この原稿が皆様に届くころにはどんな寒さになっているんでしょうか。ほんと、人間ってのど元過ぎればあのころのつらさは忘れちゃいますね。皆様いかがお過ごしですか?
私は半年以上前から歯医者にかかっています。それにしても今の歯科治療は昔に比べかなり進歩しましたね。なんといっても麻酔が痛くない。とっても細い針を使っているのですが、わずかにチクリとするだけでほとんど痛みを感じません。通い出した当初は治療中どうしても力が入っていたのですが、最近では慣れたもので治療中についうとうとすることもあるぐらいです。そういえばこれまで何度か受けたMRIでも、検査中かなり大きな音がでるのですが、撮影中に毎回うとうとしてしまいます。どこでも寝られるのは特技なのか、それとも睡眠時無呼吸なのか…。話を戻して、歯の話。かかりつけ歯科を持つことはとても大事であるという話を聞いたことがあります。確かにそう思います。かかりつけの歯科医を持つ方はそうでない方より長生きという研究結果も出ています。歯のメンテナンスをしてもらうようになってから、あらためて食べることに感謝できるようになりました。歯科のスタッフの皆さま、いつもありがとうございます。
話は変わって、先日私の外来に通院中のある方が尿管結石を患いました。かなり痛かったようでとてもつらかったとおっしゃっていました。痛みが落ち着いてきた後も数日間は尿の出が今一つだったようです。その時の話でとても印象的だったのは「尿が普通に出るようになってこんなにうれしかったことはなかった」という言葉でした。大腸の手術をした患者さんが、おならや便が出たときのうれしさを語ってくれたこともあります。コロナやインフルエンザ後の病み上がりに、普段の当たり前の健康のありがたさを感じるものです。
20年ほど前、高知にいたころに看取った88歳のおじいさん。胃がんの末期でした。最期は毎日のように訪問診療に伺っていましたが、徐々に弱って全身もかなり痩せておられました。ある日の夜、「8時25分ごろ呼吸が止まりました」とご家族から電話がかかってきました。お宅に伺い最期の診察をさせていただいた際、息子さんが「2時間前にも立っておしっこをしたんですよ」とおっしゃっていました。もちろん一人では立てないのでご家族が両脇を抱えて用を足したとのことですが、ご本人の最後まで当たり前に用を足すことへのこだわりとそれを支えた家族のことを思い出したことでした。もちろん、こういうケースは非常にまれです。転ぶと危険ですし介助する人も共倒れになっては元も子もありません。医療者としてはご本人に「無理してトイレにいくことはないですよ」と声をかけることがほとんどです。ただ、当たり前にできたことをご家族が喜んでいた姿が今でも目に焼き付いています。
当たり前が一番難しい。当たり前を積み重ねると特別になる
(杉野英実:パティシエ)
感謝するに値するものがないのではない
感謝するに値するものを、気がつかないでいるのだ
(中村天風:思想家、実業家)
当たり前に食べられること、当たり前にトイレに行って用を足せること、当たり前の日々が送れることに感謝して今月も頑張りましょう。
院長 内田 望(うちだのぞむ)
《外来からのお知らせ》
◇休診(10月16日現在)
11月2日(木) 耳鼻診療科 水足先生
11月7日(火) 婦人科 新崎先生
11月14日(火) 耳鼻診療科 荒木先生
11月28日(火) 耳鼻診療科 荒木先生
◇発熱外来
発熱や咳など呼吸器症状等のある人は、発熱外来で対応します。必ず、事前にお電話(【電話】75-2332)いただき受診方法をご確認ください。
対応時間:13:30~(受付時間:8:30~14:00)
〈お子さんをお持ちの人へ〉
小児については、小児科医による診察が望ましく、かかりつけ小児医療機関や埼玉県新型コロナウイルス感染症県民サポートセンター【電話】0570-783-770(24時間対応)に電話などでご相談ください。
最新の休診情報は、町立病院のホームページ「診療日カレンダー」でお知らせしています。
※休日急患当番医は本紙18ページをご覧ください。
問合せ:国保町立小鹿野中央病院(小鹿野町小鹿野300番地)
【電話】75-2332
【FAX】75-3313
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