◆国民健康保険制度について
日本の医療保険制度は、職業、年齢などで区分された複数の制度によって構成されており、国民のすべてがいずれかの医療保険制度に加入するという国民皆保険制度を確立しています。
そのうち74歳以下の人が加入する医療保険制度は、健康保険と国民健康保険(以下「国保」という。)の二つの柱から成り立っています。
国保は、健康保険の適用を受けない人や自営業者などが加入する保険で、地域を単位に把握して構成するため地域保険と呼ばれています。国保は中高年齢者が多く加入し医療費が増加する一方、被保険者(加入者)の所得水準が比較的低く、保険料(税)の負担率が高いという構造的な課題を抱えています。
これらの課題を解決するため、国は3,400億円の財政支援の拡充により、財政基盤を強化し、平成30年度から国保を都道府県単位として、都道府県が新たな財政運営の責任主体となり、市町村は引き続き資格管理、保険給付、保険税の賦課徴収、保健事業などを行うこととなりました。
この制度改正により、都道府県は各市町村と共通認識の下、一体となって財政運営や保険者としての事務を実施するとともに、事業の効率化を推進できるよう運営方針を定めることとなりました。埼玉県では各市町村や国民健康保険団体連合会と共に課題を整理し、運営方針第一期(平成30年度から令和2年度)、第二期(令和3年度から令和5年度)を定め、国保財政の安定的運営のため、一般会計からの法定外繰入の削減や医療費適正化、事務の広域化、効率化などの取り組みを進めてきました。
埼玉県では法定外一般会計繰入金額は減少傾向にありますが、全国的に高い水準となっています。今後は高齢化の進展や被用者保険の適用拡大などにより、主に負担を担ってきた現役世代が減少し、保険者規模が縮小していくことが見込まれます。また、被保険者から見て、療養の給付などは全国共通であるものの、各市町村の財政状況によって保険税が異なる状況にあり、受益と負担の公平性を図る観点から改善していく必要があります。
埼玉県と市町村などで協議を行い、これまでの取り組みを継続し財政の安定化を図りながら、法定外繰入の着実な解消や保険税水準の統一、医療費適正化のさらなる推進を図っていくこととなります。
国保財政の安定的な運営のためには、原則として、必要な支出を保険税や国庫負担金などで賄うことにより、国保会計の収支が均衡していることが重要です。
埼玉県では令和9年度に保険税水準の準統一を実現するために、令和8年度までに法定外一般会計繰入金等を解消することとしています。保険税水準の統一は、県内の保険給付の負担を全市町村で支え合うために、財政の安定化につながるとともに、県内どこに住んでいても、同じ世帯構成、所得であれば同じ保険税となるため、被保険者間の公平性の確保につながります。
なお、令和5年10月1日現在で町内の国保被保険者の人数は、2,823人となっています。
町では、埼玉県で定める国保運営方針に定める内容に沿って進めてまいりますので、町民の皆様にはご理解ご協力を賜りたいと存じます。
小鹿野町長 森 真太郎
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