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自治体の皆さまへ

町立病院だより

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埼玉県小鹿野町

■思いつくまま 気のむくまま 76
◇ドクター内田のひとりごと「命のつながり」
あっという間に8月です。月日の経つのは早いものです。皆様いかがお過ごしですか?
さて、先日は新潟で開催された第5回日本在宅医療連合学会大会に出席してきました。あるセッションで「生きていることを支えるのが病院、生きていくことを支えるのが在宅医療」という言葉を聞きました。なるほどと思ったことでした。そして、20年近く前に高知県で関わった高齢のFさんを思い出しました。
もともと頑固爺さんだったFさん。慢性気管支炎があり肺の状態は良くありませんでした。ある時の検査で肺と肝臓にたくさんの腫瘍がみつかりました。原発不明癌の肺転移、肝転移。ちょうど娘さんがご主人とともにFさんの介護をするため田舎に戻ってきたところでしたので、できるだけ本人の希望を支えようということになり、これ以上の苦しい検査はあえてしないことになりました。
数か月後、徐々に食べる量が減ってきたと連絡があったので往診してみるとかなりやせており、1カ月以内には命の問題になりそうだと思われました。私の説明に奥様はびっくりしていましたが、娘さんは覚悟ができていました。定期的な訪問診療の開始です。診察時に毎回「しんどくない?」と尋ねますがいつもしっかりと「大丈夫」と答えてくれました。
2週間後、熱が出たということで往診したところ、酸素飽和度が非常に低く、おそらく肺炎を発症していると思われました。病院に入院すれば肺炎が治る可能性もある。そうすればもう少し頑張られるかもしれない。娘さんも、少しでも長生きするなら入院させてもらおうかとおっしゃいました。ご自宅から病院に電話しスタッフにその説明をしたところ、ある看護師から「やっぱりみんな最期は病院か。Fさんの家族なら最期まで自宅で頑張れると思ったのに…」と言われました。確かに私も、肺炎が治れば帰れるかもしれないけれども、帰れない可能性のほうが高いかもと思っていましたので、看護師の一言で内田スイッチが入りました。「さっきは入院と言いましたが、本人はまったく苦しんでいない。苦しみだしたら夜中でもいいので救急車で病院に来るということにしませんか」。皆さん納得され、その日はご自宅で抗生物質の注射をして私は帰りました。翌朝、ご家族から「呼吸がおかしい」と連絡があり、当直医が駆けつけてみるとすでに旅立たれていました、往診に行ってくれた医師(当時の院長)は、「『なんとすばらしい最期!』とご家族を絶賛してきたよ」と言ってくれました。前日の看護師の言葉がなければ、もしあの時入院となっていたら、きっと私は後悔したに違いないでしょう。その頃私が書いた日記のようなメモには、「Fさんを通して思ったこと。家で死ぬことに強くこだわっているわけではない。でも、病院で死ぬことにはあまりこだわりたくない」と書かれてありました。
新潟の学会にて20年前のそんなことを思い出したことでした。Fさんはまだ私の心の中に生きています。

私は、死んだ後でも生き続けたい
(アンネ・フランク:「アンネの日記」の著者)

日本には先祖の魂を迎え供養するお盆という素晴らしい習慣があります。あらためて命のつながりを感じつつ過ごすことができればいいですね。

院長 内田 望(うちだのぞむ)

《外来からのお知らせ》
◇休診 (7月12日現在)
8月1日(火) 総合診療科 森先生
8月1日(火) 耳鼻咽喉科 荒木先生
8月4日(金) 婦人科 黒崎先生
8月10日(木) 整形外科 吉原先生
8月15日(火) 眼科 竹内先生
8月16日(水) 眼科 山崎先生
8月16日(水) 総合診療科 金子先生
8月25日(金) 総合診療科 植木先生
8月31日(木) 総合診療科 瀬戸先生

◇発熱外来
発熱や咳など呼吸器症状等のある人は、発熱外来で対応します。必ず、事前にお電話(【電話】75-2332)いただき受診方法をご確認ください。
対応時間:13:30~(受付時間:8:30~14:00)

〈お子さんをお持ちの人へ〉
小児については、小児科医による診察が望ましく、かかりつけ小児医療
機関や埼玉県新型コロナウイルス感染症県民サポートセンター【電話】0570-783-770(24時間対応)に電話などでご相談ください。

最新の休診情報は、町立病院のホームページ「診療日カレンダー」でお知らせしています。
※休日急患当番医は次ページをご覧ください。

問合せ:国保町立小鹿野中央病院(小鹿野町小鹿野300番地)
【電話】75-2332
【FAX】75-3313
『小鹿野中央病院』で検索

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