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自治体の皆さまへ

新 地域おこし協力隊通信 第19回

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埼玉県小鹿野町

各隊員の活動を詳しくお伝えする地域おこし協力隊通信。第19回は等々力政彦さんの活動を紹介します。

等々力(とどりき)政彦です。秩父地域の未活用新規商品作物の開発とおがの化石館のリニューアルへのアイデアづくりに取り組んでいます。それらを通じて、新しい観光客を小鹿野にお迎えするべく活動中です。

◆小鹿野ワサビ(「秩父ワサビ遺伝資源保護園」)
私は昨年来、毘沙門水で、小鹿野町内に自生するワサビの展示をおこなってきました。その知見を踏まえ、観音茶屋さんのご協力のもと、放棄されていたワサビ田を基に「(仮)秩父ワサビ遺伝資源保護園(Chichibu Institute of Wasabi)」を小森川流域に準備中です。ワサビは数少ない日本固有の野菜のうちの代表的作物です。日本食の海外市場の拡大を受け、ワサビの需要もひじょうに高まっています。現在栽培されている日本のワサビは、中国地方由来の「島根3号」、紀伊地方由来の「真妻」、静岡・神奈川由来の「だるま」の3系統がほとんどです。秩父地域のワサビの品種は、『広報おがの』に連載しました通り、ワサビの進化が起こった中心地であると考えられる日本海側地域と、雪の少ない地域で進化した太平洋側地域のちょうど中間的な場所にある品種群です。秩父地域のワサビが1)どのような栽培的特徴を有しているのか、2)本当にこの地域の自生種なのか、それとも外から持ち込まれた「外来」のワサビなのか、はDNAチェックなど今後の検討課題です。もし秩父産のワサビが自生種であった場合、当該地域での固有の進化の結果として、これまでの栽培ワサビにはない優秀な遺伝的特徴を持っている可能性が高まります。今後「秩父ワサビ」としてブランド化してくことが可能になるでしょう。それを踏まえて、この保護園では秩父地域と他の地域の優秀な特徴を持った代表的な自生のワサビの収集保存をはじめています。これまでの基礎調査でわかった、小鹿野町の主要河川系列のワサビのうち、吉田川流域、赤平川流域、小森川流域のものをすでに移植し、順調に生育しています。さらにこれまであまり知られてこなかった荒川右岸地域(長瀞、皆野など)のワサビも移植し、園内で秩父地域のワサビ遺伝子資源を網羅的に保存していく予定です。黒澤農園に場所をお借りし、販売用のハウス栽培の可能性を模索しています。

◆秩父ブランドコーヒー
小鹿野発の新規商品作物として、コーヒー豆の試作をしています。小鹿野産のマツ科・クスノキ科・ミカン科などの植物材料と、味噌や日本酒などの日本古来の発酵技術を用いて、焙煎以前のコーヒー豆(生豆)にフレーバー等をつける実験を「ちちぶコーヒー」と組んではじめています。これまで日本は、焙煎以前のコーヒー豆に対してフレーバー等をつけることはほとんど行っていませんでした。
ここがこの事業の新規性の高いポイントです。今後新しい日本ブランドとして、世界に向けて提供していくことを目指しています。

◆おがの化石館のリニューアルのアイデア
おがの化石館を、中新世をメインに据えたシンプルで斬新な展示にすべくアイデアをまとめているところです。骨子はすでに『広報おがの』において連載してありますが、リニューアルポイントは次の2点です。
(1)多くの人にとっては地質学的な時間の進み方と、生物学的な時間の進み方、歴史的な時間の進み方の違いが認識されていないことが、理解の妨げになっている、という点です。
(2)複雑怪奇な絶滅生物の名前もこれに拍車をかけていると考えられます。来訪者に時間の流れを感じ取っていただき、中新世をより実感をもって感じていただけるような工夫を考えています。
今後おがの化石館を運営する関係者にアイデアを共有する形で、リニューアルに活かしていただけるよう準備中です。

◆ファインマンイベント
小鹿野の教育事業に関わっていることから、地域の子どもたちに世界屈指の頭脳を身近に感じてもらうため、令和6年5月23日、30年来の古い友人であるラルフ・レイトンに依頼し、ノーベル賞物理学者・故リチャード・ファインマンに関する講演を開催しました。

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