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ロコモティブシンドロームと骨粗鬆症~健康寿命を延ばすために~

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埼玉県幸手市

■金井(かない)優宜(まさよし)氏
東埼玉総合病院 埼玉脊椎脊髄病センター

厚生労働省が発表した令和3年簡易生命表によると、令和3年の日本人の平均寿命は男性81・47歳、女性87・57歳です。過去最高を記録した令和2年以降新型コロナウイルス感染症の影響によりやや値は低下しておりますが、一昔前、例えば昭和末期の昭和63年(1988年)と比べると男女とも6歳前後延びており今後さらに延びると予想されております。一方、内閣府発表の令和4年版高齢社会白書によりますと、令和元年時点で健康寿命は男性72・68歳、女性75・38歳で健康寿命と平均寿命の差は男性で約9年、女性で約12年程あり、10年程前までは平均寿命が延びても健康寿命との差は変わらないといわれてきておりましたが、ここ10年程はわずかに健康寿命の延びの方が大きくなってきております。現在、幸手市の高齢化率は35・2%(2022年度版幸手市の健康指数埼玉県地域別の健康情報より)と高く、高齢化率はさらに上昇していく見込みです。それゆえ、高齢者ができるだけ長く健康で自立した生活を送ることは本人だけでなく、家族や地域社会にとって非常に重要なことです。そのため、健康寿命を平均寿命よりさらに延ばすことを考えてみたいと思います。
令和元年(2019年)の国民生活基礎調査によると要支援・要介護の原因疾患の約25%が転倒、骨折や関節疾患、脊髄損傷などの運動器疾患と大きなウエイトを占めておりますので予防していかなければなりません。運動器の衰えで移動機能が低下している状態を「ロコモティブシンドローム(以下、ロコモ)」と呼び、平成25年からの21世紀における第二次国民健康づくり運動(健康日本21第二次)においても国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針の一つとして数値目標が出されました。ロコモはある日突然起きるわけではなく、加齢とともに筋力やバランス能力が徐々に低下し、自覚しないうちに移動能力の低下を来たして転倒や骨折を起こしやすくなります。骨が弱くなって骨折しやすくなる骨粗鬆症、関節軟骨が減って起こる変形性関節症、歩行や立位で下肢の痛みやしびれが出る脊柱管狭窄症などが主なロコモの原因となる病気です。30~40歳代から骨や筋肉は適切な負荷をかけていかないと衰えていきます。ロコモは高齢者だけの問題ではなく、40歳過ぎから継続して運動や食生活にも注意してロコモの予防や対策に取り組むことが重要です。
一方で、令和5年5月31日健康日本21(第三次)の基本指針が公表され、身体の健康に関連しロコモに加え骨粗鬆症検診についても目標を定めることが示されており、このように政策としてとりあげられるということは国としてその予防を非常に重要視していることだということがわかります。
骨粗鬆症の重要な点として基本的には骨折が起きてしまうまでは大きな症状がないのにも関わらず、実際に骨折が起きてしまうと歩行能力や骨折部位によっては寿命が大幅に縮まってしまうなど大きな後遺症が残るだけではなく、その後のさらなる骨折発生率が高まってしまうことです。そのため、既になんらかの骨折が発症してしまった方はさらなる骨折の発生を予防するため骨粗鬆症の予防が必要か、かかりつけ医に相談しましょう。また、糖尿病、関節リウマチ、慢性閉塞性肺疾患等骨折が起きやすくなる疾患などもありますので、それらに該当する疾患を患っておられる方も注意が必要です。骨粗鬆症検査は整形外科専門医やロコモアドバイスドクター、骨粗鬆症認定医がいる医療機関で可能です。ぜひ、健康で自立した生活を長く続けるために行動を起こしましょう。

問合せ:介護福祉課
【電話】42-8438

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