■石井酒造
8代目当主 石井誠さん
杜氏 中束恭平さん
令和5酒造年度全国新酒鑑評会
純米大吟醸「豊明」金賞受賞
◇金賞受賞に関して―
研鑽を積みながら、昨年、一昨年も出品しましたが金賞には一歩届かず…。非常に悔しい思いを2年連続で感じていました。ようやく苦節3年目で金賞を受賞することができました。
品評会は、嗜好の場ではなく、技術・研鑽の場です。そのためしっかりとした技術を品評会に則したレシピで、酒に落とし込めるかどうかで決まります。
新酒鑑評会が開催されると同時に製造技術研究会が開催され(広島県東広島市)、品評会に出品された約900点の酒全てをテイスティングすることができます。その技術研究会に毎年杜氏を派遣し、自社の酒と他社の酒・選外、入賞、金賞のそれぞれの酒を飲み比べ、入賞のライン・金賞のラインなど評価のボーダーを自分たちの舌で確かめに行っています。そしてその味わいをレシピに落とし込む。そうやってチャレンジを繰り返してきました。
◇苦労した点は―
昨年はいろいろな自然災害が全国各地で起こるなどお米の生育が非常に良くなく、品質がかなり難しい年でした。
そういった、お米の性質を見極めて、レシピにしっかりと落とし込む、そのことに、当時は奔走したかなと感じます。
◇杜氏との密なやり取り―
酒造りに関しては、全て杜氏に一任しています。設計やレシピの方向性などはディスカッションして共につくりあげていますが、酒造りが始まったら、私も社長ではなく一蔵人として酒造りに携わります。それこそ、ときには杜氏に叱られながらですね。
◇今後の展開―
今年度は金賞を受賞したという実績を得ることができました。今まで自分たちでも半信半疑だった酒質が他者に評価されたことで自信に繋がりました。そのため、一人でも多くの方、とりわけ幸手市民の方、近隣の方にもっと知ってもらい、飲んでもらえる機会を提供したいと考えています。
埼玉県は秋田県や新潟県などに比べ、どうしても酒どころというイメージはありません。とはいえ、埼玉は全国的に見ても酒の出荷量・消費量が4番目に多いため、数字だけ見れば、酒どころといっても過言ではない位置です。
しかしながら、県産酒の消費割合は2割以下になってしまっています。そういった事情もあって、もっと地域の方・地元の方に親しんでもらいたいと思っています。
石井酒造は、かつて、幸手宿で多くの地元の方に酒をふるまってきた歴史があります。そういった歴史に基づいて、今一度地元の方にいいお酒ができてるよということを広くアピールして、幸手市のシンボルのような存在になれたらいいなと、そう思っています。
―全国新酒鑑評会とは―
該当酒造年度に製造された清酒を全国的に調査研究することにより、製造技術と酒質の現状及び動向を明らかにし、もって清酒の品質及び製造技術の向上に資するとともに、国民の清酒に対する認識を高めることを目的としています。(酒類総合研究所ホームページから)
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