■第49回 中宗岡の御嶽(おんたけ)塚
志木市には富士山のミニチュアである「田子山富士塚」(国指定:重要有形民俗文化財)や「羽根倉富士嶽(はねくらふじだけ)」(市指定:有形民俗文化財)があることは知られていますが、実は木曽御嶽山(きそおんたけさん)のミニチュア「中宗岡の御嶽塚」もあります。
この山は、産財(さんざい)氷川神社の南隣りに、明治25年(1892年)ころに築造されました。高さ約5.4mで、頂上には木曽御嶽山がある西の方角に向けて御嶽山大神が建てられています。麓(ふもと)から頂上までジグザグの登山道が造られており、木曽御嶽山の王滝口(おうたきぐち)登山道に倣(なら)って神社や記念碑、合目石などの石造物が66点も林立しています。山にかぶさるように生えている赤松の大木とともに、築造以来130年余りも立派に守られて来たことに感動を覚えます。
宗岡には小日向鐐之助(こびなたりょうのすけ)(行名(ぎょうめい):知足行者(ちそくぎょうじゃ))や市之瀬榮山(いちのせえいざん)といった先達(せんだつ)がいて、明治時代(150年前)から御嶽講が盛んな地域でした。宗岡御嶽講(一山講(いっさんこう))は、木曽御嶽山の麓に宗岡の先人が建てた石碑にお詣りをし、翌日に登山する伝統行事を継続しており、今年も行ったそうです。
この山は、昨年所有者である個人より志木市に寄贈され、「中宗岡の御嶽塚」として市の有形民俗文化財に指定されました。保存状態が良く由緒あるこの文化財をぜひ見ていただき、地域の歴史伝統文化を味わってはいかがでしょうか。
□中宗岡の御嶽塚
所在地:中宗岡2丁目
国際興業バス「氷川前」下車徒歩2分
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