自分や大切な人の「もしものとき」のことを考えたことはありますか。
年齢に関わらず誰もが、突然の事故や病気、災害に遭う可能性があります。
命の危機が迫った状態になると、約70%の方が医療やケアなどを自分で決めたり、望みを人に伝えたりできなくなると言われています。
「人生会議(ACPアドバンス・ケア・プランニング)」とは、誰にでもいつか訪れる「もしものとき」に備えて、これから先の過ごし方を考え、信頼できる人と繰り返し話し合い、共有する取組です。
●どんなときに役に立つの?
・突然の事故や病気、認知症などで自分のことを自分で判断できなくなったとき、家族などのパートナーがあなたの意見を尊重して判断できます。
・介護や医療に関わる人は、あなたの望んでいる生き方を尊重して介護サービスや治療方針を考えることができます。
●誰と話したらよいの?
家族や友人、医療や介護福祉関係者、地域の方など、信頼できる人であればどなたでも構いません。
●何を話したらよいの?
・趣味や習慣
・これからやりたいこと
・大切な人や大切にしていること
・最期のときを一緒に過ごしたい人や場所
・どこで、どのような医療・介護を受けたいか
・大切な人へのメッセージ
など
■人生会議(ACP)の体験談~母の看取りを通じて~
主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー) 高橋明子
私が考える人生会議(ACP)の最も大切なことは、自分(本人)の意思決定の過程(プロセス)です。この意思決定の過程とは、自分自身の価値観や思いに気付くことから始まり、そこから、この先をどう生きていきたいかを考え、様々な選択肢から選び、実践していく一連の流れをいいます。
私は母を自宅で看取りました。母はしっかり者で、通院や内服も1人ででき、かかりつけ医からは『娘さん大丈夫。この人はなかなか死なないよ、100歳まで生きるよ‼』と毒舌のお墨付きももらうほどでした。
ほんの1週間前まで一緒に料理をし、買い物に行き、テレビを見て笑っていた母が、突然重篤状態になり、余命宣告を受けました。
最後の5週間は自分の意思を言葉にできず、意識状況も良くない状態でしたが、母が今一番望むであろう選択を、意思疎通のできるわずかな時間と元気なときに積み重ねた対話を頼りに決めていきました。そして、母は私に2週間の在宅介護をさせてくれて、家族に囲まれ、いつ息が止まったのかも分からないほど安らかな最期を私たちに残してくれました。まさに、人生会議を身をもって実践することができたと思っています。
人生会議は、終末期のための覚え書きの作成や意思表明をしておくことだけではなく、“自分(本人)がどう死にたいかよりも、どう生きていきたいか、どう過ごしていきたいか”を考え続けることがとても大切です。そして、その時々の状況に応じて、様々な選択肢から自分(本人)で選び、決定したことを近しい人と共有しておくことで、たとえどんな状況でも自分(本人)の望んでいた未来と結果につながっていくことが、人生会議の目指すところであると私は考えています。
■人生会議を進めるためのヒント
◇エンディングノート
自分が望む生き方や今後の人生に関する意思決定など、大切な人に伝えたい内容をまとめておくためのノートです。 介護保険課、長寿はつらつ課、各高齢者相談センターで配布しています。
◇中央図書館の本の特集展示
8ページの公共施設通信をご覧ください。
◇もっと詳しく知りたい、相談したい方
・グループで楽しく
医療・介護の市民講座を受講してみましょう。
・ひとりでじっくり
高齢者相談センターや朝霞地区医師会地域包括ケア支援室などで相談できます。
◇医療・介護の市民講座
~もしものときを迎える前に、今から考えておきたいこと~
医師の講話やゲーム体験を通して、自分の価値観を振り返り、これから先の人生を自分らしく生きるヒントを見付ける講座です。受講者にエンディングノートを配布します。
日時:(1)12月19日(木)、(2)1月30日(木)午後1時~3時
場所:(1)あたご・菅沢集会所、(2)栄公民館
対象:市内在住の方
申込み:電話又は電子申請で、介護保険課へ((2)は12月25日(水)午前10時から受付開始)
問合せ:介護保険課
【電話】048-424-5186
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