◆109 かすかべの文化財vol.23
今回は、4月に新たに春日部市有形文化財(彫刻)に指定された二体の聖徳太子像(しょうとくたいしぞう)について紹介します。
一体は、西宝珠花の小流寺(しょうりゅうじ)に伝わる木造聖徳太子立像(りゅうぞう)で江戸時代の初め、江戸川の開削(かいさく)まもない頃、大水(おおみず)のため上流から流れつき、太子堂に祀(まつ)ったと伝わるものです。作風や部材の特徴から室町時代頃の制作と考えられています。当時、浄土真宗は利根川流域を中心に聖徳太子を篤(あつ)く信仰し、太子像を造り祀ることが盛んでした。現在は、春日部市郷土資料館に預けられています。
もう一体は、小渕の観音院(かんのんいん)の木造聖徳太子立像で、江戸時代後半の制作と考えられています。当時、市内では箪笥(たんす)などの職人の信仰により太子講が盛んでした。市指定文化財の「小渕太子堂奉加帳(こぶちたいしどうほうがちょう)」には、観音院に太子堂が造られ、その後修復のため寄付を募ったことなどが記載されています。
二体の太子像とも、長い髪を両耳の脇で結った16歳の聖徳太子が、父用明(ようめい)天皇の病気平癒(へいゆ)を仏に祈る姿を表した「孝養像(きょうようぞう)」と呼ばれる容姿です。いずれも、それぞれの時代における太子信仰の歴史的背景と関わりの深い文化財となっています。
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