市民病院・ワンポイントクリニック

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■突然お尻から真っ赤な血が出てきたことはありますか?
消化器内科医長　内田党央(うちだくみちか)
なんかお腹が痛いなと思いトイレに行ったら、便器が真っ赤になった!当然、誰でもびっくりしますよね?もしかしたら、虚血性腸炎という病気かもしれません。
虚血性腸炎は、大腸の血管が一時的に狭くなったり詰まったりして、大腸粘膜に血が行かなくなることで起きる病気です。なぜ一時的に血管が狭窄・閉塞してしまうかは分かっていませんが、血管系の問題(心臓・微小血管の痙攣(けいれん)・細かい動脈の硬化等)と、腸の問題(腸の動きの異常や便秘等)が絡み合い起きると言われています。高齢者だけでなく、比較的若い方にも起こる疾患で、避妊薬が原因となることもあります。
一般的には急に起きることが多く、軽度〜高度の腹痛を伴うのが典型的と言われています。女性に多く、血管の関係でお腹の左側に痛みが起きることが多いです。
診断をつけるには大腸カメラ施行も選択肢ですが、お腹が痛い時に大腸カメラはおすすめできず、問診・痛みの部位・CT検査等から疑う場合が多いです。
虚血性腸炎と診断がつけば、原因にはよるものの、よほど酷い場合を除いては心配はいりません。えっ?こんなにお腹が痛くて血もたくさん出ているのに?と思うかもしれませんが、絶食だけで数日で改善する場合も多いです。しかし、重症度に応じて点滴や入院、まれに大腸切除等の緊急手術を必要とする場合もありますので注意が必要です。
予防としては前に書いたとおり、血管系疾患のリスクを下げたり、便秘を予防することが重要と言われています。具体的には、タバコをやめる、血圧を高いまま放置しない、糖尿病コントロールを良い状態に保つ、脂質異常症をコントロールする、心疾患や不整脈を放置しない、食生活のコントロールで便秘を避けるなどが挙げられます。
そのほかにもお尻から赤い血が出る現象には様々な原因が考えられ、まれですが重大な病気が隠れているケースもあります。そのような経験がある場合や、血が出た!という際は、是非お近くの消化器内科に相談してみてはいかがでしょうか。