文字サイズ
自治体の皆さまへ

歴史散歩 〔第348回〕

33/43

埼玉県毛呂山町

■~河童(かっぱ)と小豆洗(あずきあら)い~
明治・大正時代生まれの多くの人は河童や小豆洗いの言い伝えを聞いているようです。河童や小豆洗いはどちらも水辺の妖怪(ようかい)で、子どもが1人で深い川や沼に近づかないよう大人に強く言い聞かされていたそうです。
河童とは頭に皿のようなくぼみがあり、大きさは子どもぐらいで背中には甲羅(こうら)や鱗(うろこ)、手足に水かきがあり水中で泳ぐことを得意とし、動物を水のなかに引き込んで生き血を吸うと言われていました。「淵(ふち)」と呼ばれる川の深い場所や沼には河童が住んでいて、水中に引きずり込まれ、人間のはらわたを食べてしまうと伝えられてきました。
一方、小豆洗いは夕暮れの川の近くに現れると言われていました。暗くなるまで子どもが川の近くで遊んでいると、「小豆洗いに捕まるよ」と注意されたそうです。町内では沢堀(さわぼり)(平山)・矢倉池(葛貫)・清三淵(せいぞうぶち)(沢田)・八幡淵(はちまんぶち)(川角)などに河童や小豆洗いがいると言われていました。毛呂山に伝わる河童と小豆洗いの伝承の一部をご紹介します。

▽(1)河童対策
昔、朝早く川辺に草刈りに行くと、河童が出てきて人間のはらわたを食べてしまうので、おじいさんはふんどしのなかに小石を入れて、尻(しり)の穴をふさいで川のなかに入っていった。すると、河童が現れ、おじいさんのふんどしに手を入れたが、硬い小石にあたってはらわたが取れない。河童は、「おじいの尻は硬いな」と言って行ってしまったそうだ。

▽(2)小豆洗いにつかまるな
沢堀という小川は、小豆洗いが出て捕まるとひどい目にあうから、夕方からは行ってはいけないと言われた。また明治30年ごろ、ある人が苦林の橋場のそばの小川にさしかかると、小豆を洗う音がして逃げ帰ったことがあるという。

淵や沼は子どもたちの格好(かっこう)の遊び場だった反面、危険も伴っていました。河童や小豆洗いの伝承は、子どもたちを危険な水辺から遠ざける役割もあったのではないでしょうか。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU