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新春対談2024 『論語(ろんご)と算盤(そろばん)』×『野球』渋沢栄一翁を語る(2)

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埼玉県深谷市

◆憧れや目標として次世代の『人づくり』につながる人としての生き様
◯小島市長
私はいろいろなスポーツを見るのですが、最近は、若い選手たちがこれまでとはまた違った世界の基準で活躍していると感じていて、今の若い人たちはすごいなと思っています。栗山さんから見て、大谷選手とか若い人の活躍をどう感じていますか。

◯栗山さん
市長の感覚は、すごく理解できます。ただ、私が感じているのは、例えば、『みんなのために、違うものは違うと思って、ひたすら走り続けた』渋沢さんがそうだったように、翔平(大谷選手)も、とにかく自分の好きな野球に対して、先入観にとらわれず、『スポーツは楽しいもの』『結果を出して勝たないと面白くない』というのをひたすら追いかけていて、人が持つ純粋さを思いっきり表現しているんですよね。
渋沢さんもそうですが、私はそういう人たちって、多分みんな一緒なのかなと捉えているんです。だからこそ、私が渋沢さんを追いかけているように、みんなが憧れるのだと思います。
ファイターズの監督時代、きっと選手たちは、なぜ監督は、『論語と算盤』を渡すのかなと思っていたと思うんですよ。でも、今回、渋沢さんが新1万円札に決定して、大河ドラマにもなってくれたので、選手たちに少しでもわかってもらえていればと思いますね。

◯小島市長
そうですよね。栗山さんが栄一翁を想うように、今の子どもたちは、大谷選手の活躍を目にすることで、憧れたり目標にしたりするでしょうから、今後の世代にもすごく期待できると思うのですが、どう思いますか。

◯栗山さん
それは、もちろん間違いないと思います。
最初に形をつくったかたを、みんな目標にして、一人出るとそれを越えていく。今は、野球に限らず世界基準というものがスポーツのベースとなっていて、それは、そういった選手たちのおかげだと思っているので、本当に楽しみです。

◆12年間の監督生活から学んだ『すべては人』
◯小島市長
栗山さんは、さまざまなところで講演をされていると思いますが、講演で自身が伝えたいと思っていることはありますか。

◯栗山さん
私のほうから、皆さんにこうしたほうがいいと伝えることはしないですね。
でも、私の実体験として、監督時代に苦しんだ時、自分が大事だなと思ったことは聞かれれば伝えますね。やっぱり、選手たちの育つ過程を見ていると、最後は『人』なんだということは間違いないと思います。
渋沢さんも言われていますが、人としてきちんとしていたら、物事は進むのだと思います。人としての信用がすべてなんです。人としての生き様をきちんとしていけば、すべてが前に進み始めるのかなというのが、私の監督生活での実感なので、それだけは、聞かれた時にはお伝えしています。

◯小島市長
そうですよね。栄一翁の中心にも『人づくり』があったように、やはり人が大事なんですよね。

◆栄一翁の考え方や精神を多くの人に伝えるには
◯小島市長
栄一翁が、新1万円札の肖像になることで全国的に注目されますが、私は日本中に栄一翁を知ってもらうだけでなく、『論語と算盤』や『忠恕(ちゅうじょ)の心』といった栄一翁の考え方や精神を広めたいと思っているのですが、どうしたらいいですかね。

◯栗山さん
そういう意味では、私でいうと、選手たちに『論語と算盤』を渡していますが、相手にちゃんと読んだかは聞かないんですよ。それをすると、強制になってしまうので、環境は作りますけどやっぱり自分自身で本を手に取らないといけないと思っています。
ですから、啓蒙というのはとても大変なんです。ただ、私は渋沢さんの考えとか、素晴らしい本をきちんと伝えていく作業はしていこうと思っています。

◯小島市長
今の日本って、物質的にも、すごく豊かじゃないですか。そういう中で、やっぱり最終的に大切になるのは、心の豊かさというか、そういうものになってくると思うんですよ。
私は、栄一翁の精神が一人ひとりにしっかりあれば、生きるモチベーションにつながると思うんですよね。今回のWBCみたいに、チームのために頑張っている姿とかを見るとやっぱり、自分たちのモチベーションにもなってくると思うので、ぜひ、そんなところを今後も、見せていってもらえればと思うのですが。

◯栗山さん
そうですよね。多分、私の勝手な感覚ですが、渋沢さんが言われている合本主義の基もとっていうのは、『公(おおやけ)』で、公の心というのが大切なんだと思うんです。これから豊かになるっていうのは、そこなんじゃないかなって。
それは、スポーツとは関係ないと思うかたもいますが、私は元々はそれがベースだと思っているので、そこはしっかりと伝えられればと思っています。

◯小島市長
そうですか。これからも活躍を期待しています。本日はどうもありがとうございました。

◯栗山さん
ありがとうございました。

△旧渋沢邸『中の家』にある『渋沢栄一アンドロイド・シアター』を鑑賞
△旧渋沢邸『中の家』敷地内にある『渋沢平九郎(しぶさわへいくろう)追懐碑(ついかいひ)』を見学
※写真は本紙P.4,5をご覧ください。

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