◆偉人が現代に生きていたら何を思い、伝えるか
小島市長:栄一翁は、豊かな社会を目指していました。それは、お金持ちをたくさんつくることが豊かな社会なのではなくて、どんなにお金持ちがいても、道端で倒れている人がいるような国は豊かとは言えないということなんですね。女性の社会進出も然(しか)り、栄一翁が目指していた社会はまさにSDGs(エスディージーズ)なんですよね。もし津田先生、北里先生が今いらっしゃったら、何を考え、何と言ったでしょうね。
髙橋学長:卒業していく次世代の若者たちに津田梅子は、『人生を船が進んでいく航路に例えるならば、灯台がいくつかあり、その灯台の光をしっかりと見なければならない。その灯台とは、一つは愛であり、一つは真実であり、もう一つは、献身である。そして有意な人になれ』と語っています。社会貢献をするような人になってほしいということを言っているんですね。そこは渋沢翁と非常に重なる部分があると思っています。
現代の若者に対して、『真実を見極められる力を持ち、多くの人々に献身できる心の広さ、深さ、大きさを持って、社会に有意な生き方をすれば、女性たちも自分の人生が暗あん礁しょうに乗り上げたりすることがないですよ』と言うと思います。
小島市長:なるほど。北里先生は今いたらどのような見方で、どのようなことをおっしゃったでしょうね。おそらく満足していませんよね。
浅利理事長:そうですね、多分、雷がしょっちゅう落ちていたんじゃないかという気がしますけど。あの時代からすると、医学だけを見ればだいぶ進歩していますが、『もっと進歩できるはずだ。だからもっと努力せい』と。『いい時代で良かったね』とは決しておっしゃらずに、『そんなくらいであぐらをかいてるんじゃない』と、言うと思いますね。
◆深谷市民の皆さんへメッセージ
小島市長:最後に、深谷市民の皆さんへ一言いただければと思います。
浅利理事長:渋沢先生がどのような環境でどうやって生きてきたか、それをこの地域の皆さんは知ることができて、それを吸収することもできます。これは他の市町村とは違う強みになると思います。特にこれから、渋沢先生のやってこられたことを次の世代に伝えていただくことが、さらなる発展のためには重要だと思います。
髙橋学長:渋沢翁は人間の基盤がつくられる幼少期に両親から、そして、いとこの尾高惇忠(おだかじゅんちゅう)から、非常に重要なことを学ばれた。そのようなコミュニティがこの深谷という街にあるということは、非常に誇るべきことです。深谷市民の皆さんは、このような所から日本の未来に、世界にインパクトを与えた偉人を輩出したということをぜひ心に刻んでいただきたいなと思います。
小島市長:お話を聞いて3偉人の共通するところがたくさんあると感じました。これからもさまざまな形で連携させていただきたいと思います。本当に今日はありがとうございました。
髙橋学長・浅利理事長:ありがとうございました。
○学校法人津田塾大学
『女性の地位向上』を目指し、津田梅子が創立。その建学の精神は125 年以上にわたり、受け継がれている。高度な語学力と深い専門知識を養うための学びを追求し、幅広い国際的視野、高いコミュニケーション能力を身に付けた卒業生は、国内外のさまざまな分野で活躍している。
○学校法人北里研究所・北里大学
北里研究所の創立者であり、北里大学の学祖である北里柴三郎の精神にのっとり『開拓』『報恩(ほうおん)』『叡智(えいち)と実践』『不撓不屈』を建学の精神とし、生命科学の総合大学として教育、研究、医療の分野で社会に貢献し続けている。
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