■お薬を飲みやすくする工夫
錠剤やカプセルのお薬を飲むのが苦手な方や、粉のお薬が苦かったりして飲むのが苦手な方は、結構いらっしゃると思います。本稿では、お薬を飲みやすくするための工夫について取り上げます。
最近、錠剤を飲むのが難しい方でも飲みやすいように工夫した「口腔内崩壊錠(こうくうないほうかいじょう)」(D(ディー)錠、OD(オーディー)錠、速崩錠(そくほうじょう)などと呼ぶこともあります)が増えてきています。口腔内崩壊錠は水と一緒に口に含むと短時間で溶けて容易に飲み込むことができます。製品によっては、唾液で溶けて水なしで飲めるものもあります。従来からあるお薬でも口腔内崩壊錠が用意されている場合があるので、医師や薬剤師に聞いてみると良いでしょう。
一般的には、錠剤を潰したりカプセルの中身を出したりして飲むのはお勧めできません。お薬によっては、効果が弱まったり、効果が強く出過ぎたりして良くない場合があります。また、潰すことで苦みや刺激が強く出てしまい、飲みづらくなってしまうお薬もあります。お薬の種類にもよりますので、どうしても潰さなくてはいけない場合には、事前に薬剤師にご相談ください。
高齢の方で固形物の飲み込み(嚥下(えんげ))が難しくなってきた場合でも、口腔内崩壊錠に切り替えることでお薬の服用を続けられる場合があります。また、「服薬補助ゼリー」と呼ばれる食品で錠剤やカプセルを包んで、飲み込みやすくする方法もあります。服薬補助ゼリーには、成人向けの製品のほか、粉薬が苦手な乳幼児用の製品もあります。
何種類ものお薬を飲んでいる方で、飲み忘れや飲み間違いが多い場合には、服用時点毎にお薬を分包する「一包化(いっぽうか)」という工夫もあります。間違えないように、「朝食後」「夕食後」などの飲み方や、お名前を包装の上に印字することもできます。医療保険扱いで一包化をするには医師の指示が必要ですので、処方してもらう際に医師にご相談ください。
お薬を飲みやすくすることで、飲み忘れや飲み損ねがなくなり、お薬による治療の効果が高まることが期待できます。お薬が飲みづらい原因も踏まえて工夫をしますので、お困りの場合は薬剤師にご相談ください。
熊谷薬剤師会 富岡 伸夫(とみおかのぶお)
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